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「日中韓投資取決めのあり得べき形態に関する非公式共同研究」第2回会合
(概要と評価)

平成16年5月26日

 5月17、18日、韓国(ソウル)において標記の会合が開催された。本共同研究会合は、昨年10月の日中韓首脳共同宣言を受けて、当該三ヶ国間の投資促進を目的に、この3月にたち上げられたものであり、東京で第1回会合を行い、本年秋に首脳への報告がまとめられる予定である。なお、第3回は7月19、20日に北京で、第4回は9月16、17日に東京で開催予定

1.議論のポイント

(1) 日中韓間の投資促進の経済的効果

日中韓間の貿易活動は、労働賃金格差を動機とする投資よりも相手国の市場開拓指向の投資が増大傾向。外資進出は、自国中小企業への圧力となる等のネガティブな影響はあるが、三ヶ国間の投資促進は、ハイテク技術の流入、産業構造の変革、雇用促進等のプラス効果を通じ三ヶ国経済にとってプラス。日中韓政府が互いに投資障壁を除去し、苦情処理・紛争解決の拠点設立等を通じ投資促進のためのモデルを研究する価値は高い(韓国、中国)。また、水平的産業内貿易(horizontal intra-industry trade)が進むEU等と異なり、日中韓間では貿易の流れが一方的(one way trade)かつ垂直的産業内貿易(vertical intra-industry trade)の割合が高い。日中韓三ヶ国の投資が水平的産業内貿易を促進する形で活性化されれば、東アジアの経済統合の更なる促進及び将来のFTA成立の環境作りに資する(日本)

(2) ビジネス環境の整備

我が方より、中国のWTO加盟後の投資環境改善の努力を評価する一方、「法令の透明性確保」(実施規則や行政判断等投資家が必要とする詳細な情報の提供を含む)、地方都市を含めた「知的財産権保護の実効性担保」、「中央が定めた法・規制の地方都市における全国一律的な解釈・運用」に関するシステム面・運用面での投資環境の更なる改善を要望した。また、対中投資に関し、中小企業の進出が増加している環境変化を踏まえ、One Stop Service Center や地方都市における外資と中国側関連部局との間の対話スキームの制度化等投資支援拠点体制の整備の重要性や中国企業の信用情報(財務内容や市場評価)がオープンにされることが望ましい旨提案した。更に、No Action Letter 制度の導入を提案した。

韓国より、最高検を中心とする知的財産権保護のための体制やKOTRAによる対内投資促進体制がアピールされる一方、日中両国が物流面で取り組むべき課題を指摘した

中国より、WTO加盟との関連における投資環境整備の動きが紹介される一方、日韓各国に対し投資環境整備に関連する要望あり。また、知的財産権保護については、引き続き取り組んでいく旨表明された。なお、韓国に対し査証取得手続の簡素化及び知的財産権保護に向けた更なる取組の要望があった。

(3) 投資ルールの強化及び将来の三国間投資協力の形態

本議題冒頭のプレゼンテーションにおいて、韓国より、日韓投資協定と韓中投資保護協定を比較しつつ、日中韓三ヶ国の投資促進のため自由化度の高い投資ルール(国際法レベル)を策定する際には、前者(日韓投資協定)が大いに参考となる旨説明

我が方より、我が国企業が中国や韓国で直面する法的問題(特に許認可制度)を説明。また、最近の二国間投資協定やEPA・FTAの投資の章は、投資保護を目的とするものから投資自由化に焦点を当てた「新型」に移行していること、東アジアでもごく最近(ここ2年)この発展が始まった旨説明。内国民待遇、パフォーマンス要求、透明性措置、知的財産権、紛争解決手続等の項目を中心に日中韓間で新しい投資ルールを策定する際の視点・構成要素に関する我が方の考え方を説明。更に、「高いレベルの自由化」は、開発政策(産業保護、金融、社会秩序維持等のための外資規制)と両立可能であり、投資協定は、かかる両立・調整を行う幾つかの柔軟な手段を有する点を強調。

その後の議論を受けて、中国より、自国経済の安定のためには外資のコントロールは必要であるとしつつも、日韓投資協定等に盛り込まれている「投資設立前の内国民待遇」は、海外の投資家に予見可能性を付与する利点があり、中国経済への影響に考慮しつつ、何れそのような自由化度の高い投資ルールへの協調は可能である旨の考え方が示された

2.評価

(1) 今次会合は、(イ)ビジネス環境整備、(ロ)投資ルールの強化双方の側面から、日中韓三ヶ国間の投資促進を図るための課題・問題点を浮き彫りにし、第3回会合以降で解決策を議論する対象を絞り込むことを目標とした。

(2) 今次会合においては、まず、日中韓間には更なる投資促進の潜在力があり、それは北東アジア経済統合、貿易・投資の好循環の基礎になるとの考え方が共有された。更に、透明性、中央・地方政府間の連携、知的財産権の保護等、第1回会合での議論と併せビジネス環境改善のための取組が必要な分野が明らかとなった。同時に、将来策定が期待される投資協定については、当該三ヶ国間の経済水準が異なることを配慮すべきとの意見が表明されたが、技術協定において、かかる柔軟な配慮が可能であるとの考え方が示された。更に、将来的に自由化度の高い投資協定を締結することは、当該三ヶ国間の投資促進とともに、将来の三ヶ国経済の発展に資するとの議論の方向性が出てきた



目次


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