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「日中韓投資取決めのあり得べき形態に関する非公式共同研究」第1回会合

平成16年3月10日

1.本研究会について

 昨年10月の日中韓首脳共同宣言に基づき設置された産学官研究会である。三国間における投資活動の現状と将来、投資に関連する問題点、三国間における投資取決めのあり得べき形態等について議論を行い、首脳会議に報告を行うことを目的としている。
 本研究会の第1回会合が、8ー9日、東京(外務省内)にて開催された。

(参考)日中韓首脳会議で発出された「日中韓三国間協力の促進に関する共同宣言」(平成15年10月7日、於バリ)の抜粋
 「三国は、対内外国直接投資(IFDI:Inward Foreign Direct Investment)がそれぞれの国内経済の増進にとって重要であることを認識し、IFDIの促進のためになされてきている様々な努力を歓迎する。三国は、投資家によって提起された個別の問題に対して公正に且つ透明性ある方法によって対応することを含め、IFDIの促進に向けて更に措置をとる意図を有することを確認する。このような観点から、三国は、三国間投資取決めのあり得べき形態に関する非公式な共同研究を立ち上げる。


2.議論の概要 (産学官の自由な議論のうち、いくつかを紹介する)

(1) 日中韓三国間投資の現状

 投資が、国をこえた共同作業であって経済統合の効果が高いこと、また貿易促進、雇用促進、産業構造の進化、技術協力等幅広く経済の成長に貢献することの指摘があった。この文脈で、とくに日中韓三国間での投資促進が経済連携の強化に資し、win-win-winを実現することが期待される旨が表明された。
 他方、94年から2000年にかけ、対中投資は3倍になったが、同時期に世界の投資は12倍に増加しており、また、三国の投資のインフローが世界全体に占める比率は94年の15%から2000年は5%に低下した。このように、日中韓三国の投資はまだ低いレベルにとどまり、増大の余地が大きい旨の指摘があった。また、本研究会設置は時宜にかない、産業界よりも歓迎する旨の発言が多かった。

(2) 日本及び韓国からの対中投資の特徴

 日本及び韓国からの対中投資の特徴につき、日本は資本財(機械)の輸出を伴う中国マーケットでの販売を視野に入れた投資が多く、地域的にも上海周辺を中心に広がりを見せ多くの産業をカバーしているが、韓国は原材料・素材の輸出を伴う現地組み立て後の輸出を目的とした投資が多く、山東省や北京等北部が多く電子機器に集中しているといった違いがある。中国にとってもパターンの異なる投資を受け入れることは非常に有益であるとの指摘があった。
 また、中国の物流(情報通信・金融も含めた総合物流サービス)発展が三国の利益を伸ばすとの指摘もあった。

(3) ビジネス環境改善と国内法制度整備

 中国より、投資に関する国内法令の段階的整備、規制緩和、ビジネス環境整備について説明。WTO加盟に際し、透明性の向上や自由化も含め、更に努力しているとの説明。
 日韓より、中国の努力を評価はしつつ、法制度整備及びその運用、透明性の確保について要望が示され、事業認可制度(外資規制、煩雑さ)の改善への期待も表明された。知的財産権の保護につき、中国の取組は認めつつも、法執行の徹底や模造品の廃棄につき日本の産業界より強い要望が示された。
 また、中国の地方政府を含めた苦情受付および問題解決スキーム、投資手続きに関するワンストップサービスがビジネス環境の改善に資するとの意見が出されたほか、日中間及び中韓間での投資に関する情報の共有、中小企業支援、人的往来の促進の重要性が指摘された。
 韓国に関しては、労使関係及び高コストと知的財産権の保護が、日本に関しては、規制緩和が課題との認識も示された。

(4) 投資に関する国際ルール

 日韓両国より、日韓投資協定が高いレベルの投資ルールのよい例であり、東アジア(日シンガポール、日ベトナム等)でのモデルになっているとの指摘や、三国の広範囲の連携強化の礎として投資ルールを策定することが有意義である、これは純経済的意味にとどまらないとの指摘があった。
 90年代、外国企業に対する途上国の姿勢が警戒から誘致へと大きく変化した、投資協定も保護協定から自由化協定に進化しているとの指摘があった。
 三国間の将来の投資ルールにつき、日韓協定をモデルにできるとの指摘の他、経済構造の違いを踏まえるべし(三カ国の現行投資保護協定の改定等)との指摘もあった。

第2回会合を5月17-18日にソウルで、第3回会合を7月19-20日頃に北京で、第4回は日本で開催されることになった。)


3.評価

 国際投資の問題は、ビジネス界の関心が高く、日中韓どの国の政府も本会合に積極的に議論に参加する姿勢を示した。第1回会合で、三国間投資の現状と課題につき「産学官」の特長を生かした活発かつ具体的な議論が行われ、本研究会はよいスタートを切ったといえる。
 投資の促進が、日中韓経済のダイナミズムを更に促進し、三国間経済関係の強化、win-win-win関係構築に貢献するとの認識が共有され、今後の作業の土台を築くことができた。今後比較的短期間で報告をまとめるため、投資ルール強化、ビジネス環境改善の双方につき議論を深め、作業を進める必要がある。


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