G20大阪サミットにて共有された、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向け、安倍総理は同サミットにおいて、日本は途上国の廃棄物管理に関する能力構築及びインフラ整備等を支援していく旨を表明した。そのため、日本政府は、(1)廃棄物管理(Management of Wastes)、(2)海洋ごみの回収(Recovery)、(3)イノベーション(Innovation)、及び(4)能力強化(Empowerment)に焦点を当てた、世界全体の実効的な海洋プラスチックごみ対策を後押しすべく、「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」を立ち上げる。
同イニシアティブの下で、以下の具体的な施策を通じ、 廃棄物管理、海洋ごみの回収及びイノベーションを推進するための、途上国における能力強化を支援していく。
1.二国間ODAや国際機関経由の支援等の国際協力
- 途上国に対し、(1)廃棄物法制、分別・収集システムを含む廃棄物管理・3R推進のための能力構築や制度構築、(2)海洋ごみに関する国別行動計画の策定、(3)リサイクル施設や廃棄物発電施設を含む廃棄物処理施設などの質の高い環境インフラの導入や関連する人材育成のため、ODAや国際機関経由の支援を含め、二国間や多国間の協力による様々な支援を行う。
- 世界において、2025年までに、廃棄物管理人材を10,000人育成する。
- ASEAN諸国に対し、自治体、市民、ビジネスセクター等の非政府主体の意識向上、海洋ごみに関する国別行動計画の策定、廃棄物発電インフラを含む適切な廃棄物管理及び3Rに関する能力構築等の「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクション・イニシアティブ」に基づく支援を実施する。
- 東南アジア地域での海洋プラスチックごみのモニタリング実施に向けた支援、人材育成を実施する。
2.日本企業・NGO・地方自治体による活動の国際展開
- 廃棄物処理関連施設等のインフラ輸出や、プラスチック代替品やリサイクル技術等に関するイノベーション・技術導入の支援等のため 産業界と連携した国際ビジネス展開や NGO・地方公共団体との連携を通じ、日本企業・NGO・地方公共団体による活動の国際展開を推進する。
- 日本の化学関係の業界団体が設立した海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)によるアジア新興国におけるプラスチック廃棄物の管理向上の支援や、日中プラスチック加工関連業界の協力覚書に基づくペレット等の飛散・流出防止支援等の産業界による国際協力を促進する。
3.ベスト・プラクティスの発信・共有
- 関連の国際会議(国連海洋会議、アジア太平洋3R推進フォーラム等)やイニシアティブ等を通じ、廃棄物管理、海洋ごみの回収及びイノベーションに関する日本の官民の取組におけるベスト・プラクティス(経験知見・技術)を発信・共有する。
- ASEAN諸国に対し、「海洋プラスチックごみナレッジセンター」の設立を通じて、海洋プラスチックごみ対策に関する知見の共有を促進する。