過去の議長国の下では、G20はデジタル化をはじめとするイノベーションがどのように経済成長や生産性の向上に寄与するかに焦点を当て、同時に、労働市場、スキル、デジタル・ディバイドへの影響について議論してきました。日本は議長国として、21世紀の経済システムにおけるデータの決定的な役割について焦点を当てていきます。
デジタル化が我々の経済、社会の全ての側面を変容させるにつれて、データの効果的な活用は経済成長や社会福祉のますます重要な原動力となっています。2019年1月、安倍総理はダボスにおける世界経済フォーラムにおいて、「信頼性に基づく自由なデータ流通(DFFT:Data Free Flow with Trust)」の考え方を提案し、更なるデータ流通の促進のために、デジタル経済に対する人々の信頼(トラスト)を醸成する必要性を強調しました。過去の議論を踏まえ、議長国である日本はデータの潜在力を最大限活用するための国際的議論を加速させていきます。
また、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボット、ビックデータ等の新たな技術の社会実装の重要性について議論し、デジタル化がもたらす機会を最大限活用することや、Society5.0(注)及び持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献します。
このような文脈の中で、G20大阪サミットに先立ってつくば市で6月8~9日に開催されるG20貿易・デジタル経済大臣会合では、以下の分野について議論します。
- 信頼性に基づく自由なデータ流通(DFFT)
- 人間中心のAI
- デジタル・セキュリティ
- SDGsと包摂性のためのデジタル
また、貿易大臣との合同セッションでは貿易とデジタル経済のインターフェイスについて議論を深めます。
注:Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより実現された人間中心の社会(Society)で、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続くものです。新たな技術は、最適なバリューチェーンの構築、自動生産による持続可能な産業化の推進、農作業の自動化による食糧の増産、予防検診や介護ロボットの活用による健康寿命延伸・社会的コストの抑制など、社会のあり方にさまざまな変革をもたらします。「Society 5.0」の詳細については、以下の紹介ビデオクリップを参照してください。
(https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/eng/index.html
)