目次 > 外交青書2010(HTML)目次 > 第2章 地域別に見た外交 第4節 欧州【総論】

第4節 欧州

【総論】

日本と欧州は、ユーラシア大陸の両端に位置しつつ、民主主義、人権、法の支配等の基本的価値を共有し、国際社会の安定と繁栄に向けて主導的な役割を果たすパートナーである。英国、フランス、ドイツ、イタリアといったG8参加国を擁し、世界のGDPの約30%を占める欧州との関係強化は、世界経済・金融危機、気候変動問題、テロや大量破壊兵器の拡散等の地球規模課題に効果的に対応していく上で極めて重要である。特に、EUは、新基本条約であるリスボン条約の発効(2009年12月1日)注1により、国際社会での発言力の更なる増大が見込まれている。さらに、NATOは、その性格を冷戦時のものから変容させ、平和と安定に向けた活動の領域を、欧州・大西洋地域を越えてアフガニスタンなどにも広げている。日本は、EUやNATOとの間で多くの関心分野・地域を共有しており、協調・協力の意義は大きい。こうした中、中・東欧諸国やバルト諸国との間でも、政治及び経済分野での対話と協力の拡大を進めている。

2009年5月、麻生総理大臣はEUとの首脳協議参加のためチェコ(EU議長国)を訪問した。また、次の訪問国ドイツでは対欧州外交に関する政策スピーチを行い、日本と欧州のパートナーシップの強化を呼びかけた。

9月に新政権が発足すると、鳩山総理大臣は、総理就任から3か月余りで2度の欧州訪問を行ったほか、ナポリターノ・イタリア大統領、ブラウン英国首相、フィッシャー・オーストリア大統領、ラスムセン・デンマーク首相、バルケネンデ・オランダ首相、ショーヨム・ハンガリー大統領等との会談を行った。また、11月にファン=ロンパイ欧州理事会議長が選出された直後に電話会談を行い、日本とEUとの関係の重要性について確認した。

(注1) リスボン条約はEUの基本条約を改正する条約。正式名称は「欧州連合条約および欧州共同体設立条約を改正する条約」。2007年に加盟国の代表らによって署名され、2009年12月1日に発効した。