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 3.

海外移住者や日系人との協力


日本人の海外移住の歴史は140年を迎え、北米・中南米を中心として、全世界に約260万人(推定)以上とも言われる海外移住者及び日系人が居住している。移住者・日系人は、政治、経済、教育、文化を始めとする様々な分野で各国の発展に寄与するとともに、日本と各居住国との「架け橋」として各国との関係緊密化に大きく貢献してきている。

約160万人もの移住者及び日系人が居住している中南米諸国においては、外務省は、国際協力機構(JICA)と共に、移住者の高齢化に伴う福祉支援、日系人を対象とした日本国内への研修員受入れ、現地日系人社会へのボランティア派遣等を通じた協力を行っている。

特に、世界最大の日系人社会を有するブラジルでは、2008年が日本人移住100周年に当たり、「日本ブラジル交流年」として両国で様々な記念事業が実施された。過去100年間にわたる移住者・日系人の労苦と功績を記念するとともに、未来志向で幅広い交流が行われた。4月には、東京で、天皇皇后両陛下並びに皇太子殿下の御臨席の下、「日本ブラジル交流年・日本人ブラジル移住100周年」記念式典が実施された。6月には皇太子殿下がブラジルを訪問され、首都ブラジリアのほか、日系人が多く居住するサンパウロ、北パラナ等を訪問され、記念式典に御臨席されるとともに、現地の日系人社会の代表と御懇談の機会を持たれた。

また北米においては、「日系人リーダー招へいプログラム」や、日系人リーダーとの間で定期的に会合を開催すること等を通じて、北米に居住する日系人との関係強化を図っている。


COLUMN

「日本ブラジル交流年・日本人ブラジル移住100周年」

~宮沢和史さんからのメッセージ~

2008年は日本人ブラジル移住100周年、日本ブラジル交流年ということで、個人的にも例年より更に深くブラジルとかかわれたように思います。1994年に初めてブラジルを訪れて以来、現地の日系人の方々と交流する機会を持ってきましたが、2008年は雑誌の取材やコンサート活動を通して、より多くの日系人の方々と出会うチャンスに恵まれ、貴重なお話を伺うことができました。そして、あらゆる分野で成長し続けるブラジルという国の勢いを肌で感じることができた年でもありました。

そもそも移民とは、貧しかった日本が生み出した歴史であり、彼らは過酷な条件の中で汗を流し、大地と戦い、100年間、世代をつなげてきました。遠い地で日本の敗戦を体験し、様々な困難を乗り越え、現在では150万人とも言われる日系社会をつくり上げてきました。

日本に生まれ住む者として、今この国は目標を失い、迷走しているように思います。今こそ海外の日系人たちの生き方をもう一度検証することで、我々が未来へと進むべき術が見えてくるように思います。そして、100年もの長く深い友情で結ばれた成長著しいブラジルと、これまで以上に親ぼくを深め合い、お互い支え合っていくことが今後大事になることは間違いないと思います。

地球の反対側に位置するブラジルと日本を結ぶ橋を架けてくれるのはだれか? 言うまでもなく、それはブラジルの日系社会であり、在日日系ブラジル人、在日ブラジル人の皆さんなのです。彼らの声を聞きましょう。彼らと語り合いましょう。そして、豊かな未来を共に思い描き合いましょう。

ミュージシャン宮沢 和史(THE BOOM/GANGA ZUMBA)


ワンマン公演を行った、リオデジャネイロの音楽の殿堂=カネカゥン劇場にて

ワンマン公演を行った、リオデジャネイロの音楽の殿堂=カネカゥン劇場にて


サンパウロで毎年開催されている大規模なイベント「日本祭」のステージにて

サンパウロで毎年開催されている大規模なイベント「日本祭」のステージにて


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