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青年海外協力隊・シニア海外ボランティア |
青年海外協力隊・シニア海外ボランティア事業は、日本の国際協力の中でも、現地の人々と共通の目線でその国が抱える問題を解決するために一緒に汗を流して取り組むというものであり、日本の「顔の見える援助」の代表として各国から高い評価を得ており、日本と各開発途上国の相互理解や友好親善の促進にも大きな役割を果たしている。
![]() 正しい石鹸での手洗い方法を指導している感染症対策隊員(パプアニューギニア 写真提供:国際協力機構) |
青年海外協力隊は、技術を有する20歳から39歳の青年男女が、開発途上国地域住民と生活を共にしつつ、当該地域の経済及び社会の発展に協力・支援することを目的とする事業で、派遣された協力隊員はまさしく「顔の見える」協力を行い、開発途上国の発展に貢献してきた。2008年末までに累計で87か国に32,172人の隊員が派遣され、農林水産、加工、保守操作、土木建築、保健衛生、教育文化、スポーツ、計画・行政の8分野181職種にわたる活動を積極的に展開している。
またシニア海外ボランティアは、幅広い技術と豊かな経験を有する40歳以上の中高年男女を開発途上国に派遣する事業である。1990年の事業発足以来年々事業規模を拡大しており、2008年末までに61か国に3,601人を派遣し、計画・行政、公共・公益事業、農林水産、鉱工業、エネルギー、商業・観光、人的資源、保健・医療、社会福祉、その他(渉外促進、有資格登録)の9分野136職種にわたる協力を行ってきた。
近年は一線を退いたシニア層の再出発という観点からもシニア海外ボランティアが注目を集めるなど、国内におけるボランティアへの関心は増大している。青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアは、国民参加型国際協力の中核を担う事業として、開発途上国でボランティア活動に従事したいという国民の高い志を広く支援している。
2008年12月末現在、2,616人の青年海外協力隊と553人のシニア海外ボランティアが、世界各地(それぞれ75か国、53か国)で活躍を続けている。また、帰国したボランティア参加者はその経験を教育や地域活動の現場で共有するなど、社会への還元を進めており、この世界に広がるユニークな活動は、受入れ国を始め国内外から高い評価と期待を得ている。さらに、2009年1月、外務省及びJICAは、現下の厳しい経済情勢雇用をめぐる状況にかんがみ、年間1,600人から1,900人を海外に派遣している青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの新規派遣人数を、まず2009年度、およそ1割、約200人をめどに増やすことを発表し、現在要員確保のための積極的な募集広報及び要請案件の開拓に取り組んでいる。
![]() 現地の村人と一緒に牛の出産を手伝う協力隊員 |
出身都道府県別派遣実績(集計期間:2008年1月1日~12月31日)