3. |
経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)交渉の推進 |
EPA/FTA交渉の現状(2009年2月現在)
(1) |
発効したもの |
シンガポール:2002年11月に発効した、日本にとって初のEPA。2007年9月に物品貿易・金融サービス等の分野の更なる自由化を定めた改正議定書が発効し、2008年1月から本議定書に従い関税引下げが実施されている。
メキシコ:2005年4月に発効。両国間の貿易額は発効前に比べ倍増し、投資額も約3倍に拡大している。2008年には、第4回合同委員会のほか、各種小委員会も開催された。ビジネス環境の整備に関する小委員会では、メキシコに進出している日本企業の要望にこたえる形で治安改善などを要求し、ビジネス環境整備に大きく貢献している。
マレーシア:2006年7月に発効。協定発効により、従来の両国の密接な協調関係が更に促進された。2008年には、第2回合同委員会のほか、衛生植物検疫措置(SPS)に関する小委員会、原産地規則に関する小委員会、ビジネス環境の整備に関する小委員会及び知的財産に関する小委員会が開催された。
チリ:2007年9月に発効。日本にとって銅、モリブデン、リチウム等の最大供給国のチリとのEPAは、鉱物資源の安定供給に貢献するほか、日本企業による南米地域への経済進出を促すことが期待される。2008年には、魚及び魚製品に関する作業部会、物品の貿易に関する小委員会及びビジネス環境の整備に関する小委員会が開催された。
タイ:2007年11月に発効。日本にとって第6位の貿易相手国であり(2007年財務省貿易統計)、自動車産業を始め様々な分野で重要なパートナーであるタイとのEPAは、両国の更なる経済緊密化に寄与することが期待される。2008年には、第2回合同委員会のほか、各種小委員会も開催された。
インドネシア:2008年7月に発効。貿易・投資の自由化やエネルギー・鉱物資源の安定供給に資する枠組み等により、ASEAN最大のGDP、人口を有するインドネシアとの経済連携を包括的に強化するものである。EPAの下で初めてインドネシア人看護師・介護福祉士候補者を受け入れ、2008年8月から計208名が来日している。
ブルネイ:2008年7月に発効。エネルギーについての独立した章を設けることにより、日本のエネルギー供給元として重要な位置を占めるブルネイからの安定供給に資する枠組みを提供している。
ASEAN全体:2008年12月に日本、シンガポール、ラオス、ベトナム及びミャンマーの間で、2009年1月にブルネイとの間で、2月にマレーシアとの間で発効。この協定により、各締約国は、ほかの締約国の原産品を自国の原産材料として使用できるので、日本とASEAN域内との生産ネットワーク強化が期待される。カンボジア、ラオス及びミャンマーとの間での初のEPAとなる。
フィリピン:2008年12月に発効。これにより、日本とすべてのASEAN原加盟国との二国間EPAが発効した。貿易・投資の自由化等に加え、フィリピン人看護師・介護福祉士候補者の受入れも規定している。フィリピンにとって初の二国間EPAである。
(2) |
署名されたもの |
ベトナム:2008年12月に署名。物品及びサービスの貿易自由化並びに関連分野での連携強化を図ることにより、近年目覚ましい経済発展を遂げているベトナムとの貿易・投資を始めとする経済関係全般の強化に資するものである。ベトナムにとって初の二国間EPAである。
スイス:2009年2月に署名。日本にとって欧州の国との初のEPAであり、両国の一層の経済関係強化に寄与するとともに、アジアを中心に進めてきたEPAの網を欧州に広げたという観点からも、日本の経済外交推進の上で戦略的意義を有するEPAと言える。
(3) |
交渉中の協定(韓国、GCC、インド、オーストラリア) |
韓国とは、2003年12月に交渉を開始し、2004年11月以降交渉が中断しているが、2008年4月の日韓首脳会談で日韓EPAの重要性について一致したことを受け、6月及び12月に交渉の再開に向けた検討及び環境醸成のための実務協議を開催した。湾岸協力理事会(GCC:アラブ首長国連邦、バーレーン、サウジアラビア、オマーン、カタール、クウェート)とは、2006年9月から2回、インドとは2007年1月から11回、オーストラリアとは2007年4月から7回の交渉を現在までに行っている。
(4) |
広域経済連携に向けた取組 |
日本は、東アジア及びアジア太平洋地域における経済連携の枠組みの研究や検討に積極的に参加及び貢献することとしている。2008年には、ASEANと日中韓の13か国によるFTA(EAFTA)構想や、これらにオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた16か国によるEPA(CEPEA)構想についての民間研究が続けられた。さらに、アジア太平洋の自由貿易圏(FTAAP)構想については、11月のAPEC閣僚・首脳会議で、選択肢及び展望の検討作業の進ちょく状況につき報告が行われ、更なる検討作業継続が指示された。
アジア太平洋における広域経済連携に向けた取組
経済連携強化に向けた取組の現状(2008年12月現在)