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第3章 分野別に見た外交

   第1節   


国際社会の平和と安定に向けた取組


 1.

日本の安全保障政策


【総論】


今日の国際的な安全保障環境は冷戦時代に比べ質的に変化しており、大国同士による紛争の蓋然(がいぜん)性が低下する一方、地域紛争が増加し、大量破壊兵器やミサイルの拡散、インドのムンバイにおける連続テロ事件に見られるような国際テロや海賊事案の増加、さらには、貧困、環境、難民、麻薬、感染症といった地球規模の問題などの脅威も増大している。こうした中で、日本がその領土を保全し、国民の生命・財産を保護し、持続的な繁栄・発展を確保するためには、伝統的脅威のみならず、非伝統的脅威への対応も含めた、多面的な安全保障政策が求められる。具体的には、適切な防衛力の整備、日米安保体制の維持・強化に加え、近隣国との安定した国際関係の増進に向けた外交努力や、国際社会の平和と安定に向けた取組を引き続き積極的に進めていくことが重要である。

このような観点から、日本政府は、2008年、国連スーダン・ミッション(UNMIS)司令部への自衛官派遣を含む国連平和維持活動(PKO)への参加、インド洋における海上自衛隊による補給支援活動の再開、イラクにおける航空自衛隊による輸送支援活動の成功裡(り)の活動終了に加え、G8サミット議長国として平和構築、軍縮・不拡散、国際テロや国際組織犯罪といった諸課題にも積極的に取り組んだ。

今日、日本として引き続き取り組むことが求められているソマリア沖・アデン湾を含む海上交通の安全の確保は、まさに国家の存立・繁栄に直結する問題である。日本国民の生命及び財産の保護の観点から、沿岸国の海上取締り能力の強化や人材育成などへの協力のみならず、日本自身の海賊対策についても、新たな法整備の検討を進めるとともに、できることから早急に措置を講じていく。

また、日本は10月に国連安保理非常任理事国に当選した。国際社会の平和と安定があってこそ、日本の国益も最大化されることから、引き続き、安保理改革及び日本の常任理事国入りの早期実現に向け積極的に取り組む。

国際社会が山積する困難を抱えている現在、日本は、以上の取組を一層拡充しつつ、積極的・主体的な安全保障政策を展開していく。


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