第7節アフリカ |
2008年は日本とアフリカの歴史上極めて重要な年となった。日本は5月に第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)、7月にG8北海道洞爺湖サミットを開催し、アフリカ開発に関する国際的な議論を主導する役割を果たした(詳細は第1章「第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)」を参照)。首脳・閣僚級の要人往来も極めて頻繁に行われ、1月の高村外務大臣のタンザニア訪問に続き、第10回アフリカ連合(AU)総会(於:エチオピア)には森喜朗政府代表(元総理大臣)が出席し、演説を行った。3月には、高村外務大臣がガボンを訪問し(注1)、4月には第10回アフリカ・パートナーシップ・フォーラムを東京で開催した。9月に国連の場で行われた「アフリカ開発ニーズに関するハイレベル会合」には、TICAD IVフォローアップの一つとして、森政府代表が出席し演説を行った。
アフリカでは、平和と安定に向けた動きや好調な経済成長などの前向きな兆しが近年見られる一方で、貧困や紛争、政情不安、感染症、テロや組織犯罪といった問題が依然深刻であり、世界的な金融危機、経済減速もアフリカ諸国に様々な影響を与えるものと見られる。こうした問題の解決に尽力することは、国際社会の主要な地位を占める日本の責務であるとともに、存在感を増しつつあるアフリカとの協力関係を深めていく上でも意義深い。豊富な天然資源を有し、増加を続ける巨大な人口を持つアフリカとの関係は、日本経済の今後にとっても重大な意味を持っている。
こうした認識の下、日本としては、アフリカにおける、[1]貧困削減と経済成長の加速化、[2]平和の構築及び良い統治の実現という政治・経済両面での積極的な取組を通じて、アフリカ自身による問題解決に協力していくこととしている。世界的な金融危機の中でもこの方針に変わりはなく、日本はTICAD IVやG8北海道洞爺湖サミットで発表した支援策を着実に実施していく。
アフリカ問題への積極的な取組には、国民各層からの理解と支持が不可欠である。TICAD IVとG8北海道洞爺湖サミットに向けて幅広い広報活動を行った結果、アフリカ諸国に対し「親しみを感じる」とする者の割合が過去最高を記録した(注2)。
![]() 「アフリカ開発ニーズに関するハイレベル会合」に出席し、演説を行う森政府代表(9月22日、米国・ニューヨーク UN Photo by Mark Garten) |
(注1) | 日本の外務大臣が1年に二度アフリカを訪問したのは初めて。 |
(注2) | 内閣府「外交に関する世論調査」(2008年10月) |