第6節中東と北アフリカ |
中東地域の平和と安定は、国際社会全体の平和と繁栄に直結する問題であり、また、日本は原油のおよそ9割を中東地域から輸入していることから、同地域の安定の確保は、日本のエネルギー安全保障にとっても死活的に重要である。
2008年、中東地域では、豊富な石油資源を背景にした湾岸諸国の経済成長、イラク治安状況の改善など前向きな動きが見られた一方、アフガニスタン治安情勢の悪化、イランの核問題などの問題も依然として存在する。また、12月27日から開始されたイスラエルによるガザ地区への攻撃は、パレスチナをめぐる情勢の不安定さを改めて示した。さらに、原油価格の高騰と下落や世界的な金融危機も地域経済に大きな影響を与えている。
このような状況において、日本は、中東地域の安定確保を図ること及び日本のエネルギー安全保障を確保することの2点を主要な目標として、国際社会と連携しつつ、中東外交に積極的に取り組んでいる。
また、中東諸国との間では、エネルギーを中心とする経済分野を軸とした関係を更に発展させ、政治、文化、科学技術等幅広い分野における重層的関係を構築するための取組が進展している。
5月には高村外務大臣がアフガニスタンを訪問し、G8議長国として、アフガニスタン支援に関して国際社会とアフガニスタン政府との調整・協力を支援していく旨を表明した。
また同月、東京で「平和と繁栄の回廊」構想の4者協議第3回閣僚級会合を主催するなど、中東和平問題にも積極的に取り組んだ。
10月、アラブ首長国連邦(UAE)で行われた拡大中東・北アフリカ構想(BMENA)「未来のためのフォーラム」閣僚級会合では日本がUAEと共に共同議長を務め、中曽根外務大臣及び橋本聖子外務副大臣が中東・北アフリカ地域における改革支援や国際金融危機への対応について協議を行った。
12月には橋本外務副大臣、2009年1月には安倍晋三総理大臣特使がイラクを訪問し、約5年にわたるイラクにおける自衛隊の任務終了後も、引き続き、日・イラク間で幅広い分野にわたる長期的な友好関係を構築するために協議を行った。安倍総理大臣特使のイラク訪問の際には日・イラク両国のパートナーシップ宣言が発出された。