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 2.

中央アジア諸国


2008年には、中央アジア諸国のいずれにおいても大統領選挙は実施されず、大きな政治的な変動は見られなかった。カザフスタンでは、世界的な金融危機の影響をこの地域で最も強く受けたが、迅速に対策を発表するなど、危機の影響緩和を図っている。今後、2010年の欧州安全保障協力機構(OSCE)議長国就任に向け、外交活動の活発化が見込まれるる。ウズベキスタンでは、安定的な政権運営が行われるとともに、人権状況改善の取組も行われ、近年関係が冷却していた欧米諸国との関係改善が進められた。キルギスでは、2007年10月に採択された新憲法に基づき強い権限を保持することとなったバキーエフ大統領が、内政の安定化、経済基盤の強化に努めている。トルクメニスタンでは、ベルディムハメドフ大統領が、前政権以来の中立政策を維持しつつも、中央アジア・コーカサス諸国はもとより、中国、ロシア、韓国、欧州諸国等を訪問して積極的な外交を展開している。また、内政面においても、9月に新憲法が採択され、12月には国会(メジリス)議員選挙が行われた。

日本は、中央アジア地域において、二国間関係はもとより、地域全体との対話及び地域内の協力関係を促進するために「中央アジア+日本」対話の枠組みを創設して、様々な会合を開いてきている。2008年7月には、第4回高級実務者会合をタシケント(ウズベキスタン)で開催し、2006年6月の第2回外相会合において採択された「行動計画」の進ちょく状況を確認するとともに、今後の新しい協力の方向性等について話合いを行った。

2007年11月のバキーエフ・キルギス大統領、12月のラフモン・タジキスタン大統領の訪日に続き、2008年6月には、ナザルバエフ・カザフスタン大統領が日本を公式訪問し、福田総理大臣との会談が行われ、両首脳は共同声明に署名した。同大統領の訪日は資源大国カザフスタンと高い技術力を有する日本との互恵的・相互補完的な協力の発展や貿易・投資の拡大に向けた多くの成果をもたらした。12月19日には、東京において日・カザフスタン租税条約が署名された。また、ウズベキスタンとの間でも、両国の経済関係の更なる発展を促すため投資協定の締結交渉が進められ、8月15日、タシケントにおいて日・ウズベキスタン投資協定が署名された。


写真・ナザルバエフ・カザフスタン大統領との首脳会談に臨む福田総理大臣

ナザルバエフ・カザフスタン大統領(左)との首脳会談に臨む福田総理大臣(右)(6月20日、東京 写真提供:内閣広報室)


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