第3節中南米 |
中南米地域は、3.1兆米ドルの域内総生産(東南アジア諸国連合(ASEAN)の3倍)と5.6億人の人口を有し、経済成長率も2008年は4.6%を達成し、ここ5年間5%前後を維持するなど、経済的な存在感を一層高めている。さらに、希少金属を含めた鉱物・エネルギーや食料の供給源としての注目度が高まっている。
日本は中南米との間で、日系人の存在を始めとする人的な絆(きずな)もあり、伝統的に友好関係を有している。また、中南米諸国における民主主義の定着と経済発展を支援し、関係の緊密化を進めてきた。近年では、中南米はおおむね民主主義と市場経済に基づく着実な経済成長を享受し、国際社会での発言力も増大してきた。今日、基本的価値を共有する中南米諸国は日本にとって国際社会における重要パートナーとなるに至っている。このような状況の下、日本は中南米諸国との関係を更に進展させるために、[1]経済関係の強化、[2]地域の安定的発展の支援、[3]国際社会における協力推進を三つの柱として同地域に対する外交を展開している。
経済関係の強化については、日本政府は日系企業や現地の事情を的確にとらえながら、経済連携協定(EPA)や投資協定などの法的枠組みの整備や先方政府との協議などを通じて日系企業の活動を支援し、日本と中南米の経済関係の一層の活発化を図っている。
中南米の安定的発展に向け、日本は、各国に根強く残る貧困や社会格差問題解決のため、資金・技術協力を通じて、各国政府による取組を積極的に支援している。同時に、持続的な経済発展の実現に向けて協力している。
33か国を擁する中南米は、国際連合等での意思決定に大きな影響力を有し、とりわけブラジルやメキシコ等の新興国は、国際政治経済における存在感を著しく増している。これを踏まえ、日本政府は中南米諸国との間で、日本が重視する環境・気候変動問題、人間の安全保障、国連安保理改革等の国際社会が直面する課題に取り組むに当たって連携・協調を図っている。