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COLUMN

ソマリア沖・アデン湾における海賊等事案の急増と日本及び各国・国際機関の取組

最近、ソマリア沖・アデン湾における海賊等事案が急増しています。特に2008年夏以降急増し、同年10月~12月には48件と約2日に1件の割合で発生、状況は更に悪化しています。国際海事局(IMB)レポートによれば、同年の同海域における海賊等事案は111件と、全世界の約4割に当たり、2007年の約2.5倍にも上ります。

国連海洋法条約には、公海上における海賊行為について、海賊船舶の船籍にかかわらず、すべての国に軍艦その他の政府公船による取締りが認められていますが、現在、日本には、公海上で海賊行為を取り締まる一般的な国内法令がありません。ソマリア沖・アデン湾には年間約2,000隻の日本関係船舶が通航しており、政府としては、日本国民の人命・財産の保護の観点から、できることから早急に措置を講じていく必要があると考えています。

各国・国際機関も同海域において積極的にこの問題に取り組んでいます。国連安保理は、安保理決議第1816号、第1838号、第1848号及び第1851号において、海賊行為等に対するソマリア沖海域で活動している軍艦等による警戒、当該海域への軍艦等の派遣等を要請しています。これまでに、米国、英国、フランス、ドイツ、デンマーク、カナダ、オランダ、スペイン、ロシア、ニュージーランド、インド、中国、マレーシア等の国が同海域に軍艦を派遣してきています(報道等公開情報による)。

また、国連安保理決議第1851号に従い、ソマリア沖海賊対策に関する国際協力メカニズムとしてコンタクト・グループが設置されたのに加えて、国際海事機関(IMO)主催でソマリア周辺海域諸国の域内協力のための会議がジブチで開催されるなど、国際的な協力の枠組みもできつつあります。日本は、こうした取組にも積極的に取り組んでいます。


東南アジア発生件数との経年比較

ICC IMB Live Piracy Map 19 December 2008

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