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COLUMN

国際緊急援助隊の派遣~中国四川省大地震~

「ありがとう」「がんばって下さい」国際緊急援助隊の隊員にとって何より励みとなる言葉だ。中国四川省大地震。派遣された国際緊急援助隊の61名もまた、こう声をかけられ、励まされた。ある隊員は道で少女からチョコレートを渡された。「がんばって下さい」そう言われたと感じた。その話が援助隊の中に伝わると、疲労のにじむ隊員達の顔に笑みが浮かんだ。皆嬉しかったのだ。

捜索・救助活動では様々な困難に直面した。情報が錯綜(さくそう)し混乱があった。被災地は広域にわたり、道路の状況も悪い。移動に時間をとられた。余震も多く、活動には危険が伴った。しかし、隊員達は使命感に燃え、黙々と救助作業にあたった。四川省青川県の病院宿舎。母親と生後2か月の赤ちゃんが瓦礫(がれき)の下にいる。夜を徹しての救出作業。翌朝発見できたが、お互いをかばい合うようにして亡くなっていた。皆で黙祷(もくとう)をささげた。四川省北川県の北川第一中学校。多くの児童が倒壊した校舎に閉じこめられていた。救出作業交替の時間が来ても、「自分は休息は要りません。このまま作業を続けさせて下さい」そう言って譲らない隊員がいた。皆、熱い人命救助のプロだ。

現地での救助活動を終え、成都市の宿舎に入る隊員達。皆、もっともっと救助活動を続けたかった。入口で多くの市民が出迎えてくれた。「ありがとう」「御苦労様」国際緊急援助隊を誇りに感じるのは、私一人だけではあるまい。


外務省国際協力局国際緊急援助室長 小泉 崇
(中国四川省大地震で国際緊急援助隊救助チーム団長を務める)


写真・四川省青川県の病院宿舎における捜索・救助活動(写真提供:国際協力機構)

四川省青川県の病院宿舎における捜索・救助活動
(写真提供:国際協力機構)


写真・四川省北川県の北川第一中学校における捜索・救助活動(写真提供:国際協力機構)

四川省北川県の北川第一中学校における捜索・救助活動
(写真提供:国際協力機構)


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