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【各論】


 1.

海外への情報発信


 (1) 

海外広報


外交活動を円滑に展開するため、自国の魅力により諸国の人々を引きつけ、政策全般や文化事情に対する理解を深めることは、近年ますます重要になっている。2007年の米国における世論調査では、対日信頼度が過去最高(一般の部74%、有識者の部91%)となったが、外務省はこうした広報環境に関する種々の調査・分析を行った上で、国・地域別の広報戦略に基づく様々な広報事業を実施し、情報を発信している。

2007年は、バングラデシュのユヌス・グラミン銀行総裁をはじめ、世論の形成に大きな影響力を持つ有識者(オピニオン・リーダー)を多く日本に招待し、滞在を通じ対日理解を促進した。また、在外公館において、大使や館員が講演やマスコミへの出演・投稿を通じて日本の立場などを紹介するとともに、日本から有識者を海外に派遣し(講師派遣)、政治・経済・安全保障などについて講演を行うことにより、諸外国における対日関心の喚起に役立てている。さらに、要人往来や周年事業などの時期に、外国のテレビチームを訪日招待し、日本紹介番組の制作を支援している(注2)

また、日本の外交政策の広報パンフレットや視聴覚資料を作成し、「にっぽにあ」(14か国語)など日本事情紹介の広報誌を広報に活用したり、外務省ホームページ(英語版)及び在外公館のホームページ(各国語)等の内容改善に努めている。さらに、ポップカルチャーなど現代日本への関心の高まりを受け、日本の一般事情を紹介するウェブサイト(主要8言語)の内容の充実に力を入れている(注3)



 (2) 

諸外国における日本についての論調と海外メディアへの発信


海外メディアによる対日関連報道については、政治分野では、参議院選挙、その後、安倍政権から福田政権に移行する国内政治に関心が集まった。防衛庁の省昇格については、日本が国際社会の諸課題にかかわる意欲の表れとする肯定的論調がある一方、北東アジア諸国には、日本の「軍事大国化」として懸念する論調も見られた。インド洋における自衛隊による補給支援活動問題についても、多くのメディアが報じ、特に欧米メディアはこれを高く評価した上で、補給支援活動の中断を懸念する関係者の発言を掲載した。

経済分野では、サブプライムローン問題や円安に対する日本の対応等が注目を集めたが、事実報道が大多数を占めた。社会・文化の分野では、日本人メジャーリーガーの活躍等、好意的な報道が多かったが、日本の調査捕鯨や刑事司法制度にも関心が集まり、特に捕鯨問題については、日本の立場を批判する報道も一部見られた。

政府による対外的な情報発信については、総理大臣が7回、外務大臣が13回の外遊を行ったこともあり、総理大臣や外務大臣、大使、外務報道官によるインタビューや寄稿が積極的に行われた。また、事実誤認に基づく報道に対しては、速やかな反論投稿を実施した。



 (3) 

観光振興


観光立国の実現に向け、訪日外国人旅行者(2007年は835万人(前年比13.8%))を2010年までに1,000万人にするという目標を掲げ、2003年から官民一体となってビジット・ジャパン・キャンペーンが行われている。外務省は、大使公邸におけるイベント等の在外公館を通じた取組や日本紹介ビデオやパンフレット、ホームページによる広報等を通じて、外国人旅行者の訪日促進に積極的に取り組んでいる(注4)



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(注2) 天皇皇后両陛下の欧州御訪問にあわせ、エストニアからテレビチームを招待し、皇室、外交、文化、被爆体験といったテーマでの取材を支援した。また、日印交流年や日・モザンビーク外交関係樹立30周年の機会には、日本紹介番組の制作を支援すべく、インド及びモザンビークのテレビチームを招待した。また、中国からは、湖北省で開催された「湖北ジャパンウィーク」に関する取材を行う湖北省湖北衛星テレビ局を招待し、ポップカルチャーや環境保護政策についての取材がなされた。
(注3) 「外務省ホームページ(英語版)」(http://www.mofa.go.jp/)は、日本外交政策に関する情報を、また「Web Japan」(http://web-japan.org/)では日本の一般事情を、それぞれ英語(一部韓国語、中国語、その他言語)で発信している。また、多くの在外公館でも独自のホームページを開設して、現地に密着した情報を現地の言語や英語で発信している。
(注4) 具体的には米国、韓国、中国、シンガポール、タイ、カナダ、オーストラリア、欧州等、12の重点市場国・地域において、在外公館長を会長とするビジット・ジャパン・キャンペーン現地推進会を計18か所立ち上げて、外国人旅行者の訪日促進のための方策を検討している。また、在外公館施設を利用した「プロモーション・パーティ」やセミナー、講演会の実施、海外における観光展や見本市等への出展、観光パンフレットの配布やビデオ上映等を通じて、日本の魅力のアピールに努めている。2007年には、数万人を動員したマレーシアにおける「MATTA(マレーシア旅行業協会)フェア」やカナダでの「メトロ・アジア・ショーケース」などの観光展や見本市等への出展を通じ、日本への観光を幅広くアピールしている。通常の広報活動においても、「ジャパン・ビデオ・トピックス」(2007年は6本作成し、全世界計197の在外公館に送付)など日本紹介のための映像資料や「Web Japan」において、日本食や旅館、祭、伝統芸能、ファッションなど、日本への観光促進につながる内容を積極的に紹介している。

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