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   第4節   


海外への情報発信と文化外交

【総論】


インターネットやマス・メディアの飛躍的発展を背景とし、世論が外交政策に与える影響力は近年ますます高まっている。このため、外交政策を円滑に展開するためには、相手国政府のみならず相手国国民の理解が不可欠であり、各国は自国に対する良好なイメージ獲得を重要な外交政策とし、特に力を入れている。外務省としては、相手国国民に直接働きかけ、日本の外交政策や一般事情に対する良好かつ深い理解を醸成するため、海外広報と文化交流を総合的に展開し、日本の魅力を発信しつつ、各国国民との交流を促進するよう努めている。

各国における対日認識は概して良好である。世界の日本語学習者は着実に増加し、2006年には約300万人(注1)に上り、また、日本のポップカルチャー人気をはじめとする現代日本文化に対する関心は高い。この状況をいかし、より深い対日理解へとつなげるべく、外務省は2007年5月に「国際漫画賞」を創設し、海外で漫画文化の普及に貢献する漫画家を顕彰した。そのほか、様々な文化事業を行うとともに、政府の要人から青少年、高校生に至るまで幅広く外国人を日本に招き、日本を紹介するなど、各国との交流を深めるための取組を行っている。また、国連教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ))等国際機関と協力し、文化遺産保存等文化面での国際貢献に努めている。このような交流や協力とあわせ、日本の政策や社会、文化など諸事情について積極的な情報発信を行うとともに、国際的な世論に大きな影響力を有する有識者に対して日本の考え方が伝わるよう、日本への招待やシンクタンク・大学における研究への支援等を行っている。


写真・日本・マレーシア友好年2007記念事業「クアラルンプール盆踊り大会」

日本・マレーシア友好年2007記念事業「クアラルンプール盆踊り大会」(7月、マレーシア・クアラルンプール)


さらに、様々な取組を一層効果的に進めるため、2006年3月以降、有識者による諮問機関である「海外交流審議会」においてその方策を検討し、2008年2月14日答申「我が国の発信力の強化のための施策と体制~「日本」の理解者とファンを増やすために~」を高村外務大臣に提出した。

これらの諸事業の実施に当たっては、各国との間における外交上の節目の年に「周年事業」として集中的に交流事業を行い、効果的に相手国との相互理解増進に取り組むといった工夫を行っている。日中国交正常化35周年に当たる2007年は、「日中文化・スポーツ交流年」を実施し、中国国民との交流がより一層強化されたほか、日印文化協定締結50周年を記念し、「日印交流年」を実施した。2008年には、「日本インドネシア友好年」や「日本ブラジル交流年」等の実施を予定し、交流事業を計画している。


写真・高村外務大臣に答申書を提出する海外交流審議会の張富士夫会長(トヨタ自動車株式会社会長)

高村外務大臣(左)に答申書を提出する海外交流審議会の張富士夫会長(トヨタ自動車株式会社会長)(右)(2008年2月14日)



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(注1) 日本語学習者数については、本節2.(4)「日本語普及」を参照。

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