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 2.

経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)交渉の推進


 (1) 

発効したもの


 イ  

シンガポール

2002年11月に発効した、日本にとって初めてのEPA。2007年9月に物品貿易・金融サービス等の分野についての更なる自由化を定めた改正議定書が発効し、2008年1月から本議定書に従って関税引下げが実施される。


 ロ  

メキシコ

2005年4月に発効。2007年4月に同協定の一部品目(鶏肉、牛肉及びオレンジ生果等)の枠内税率を定めた議定書が発効した。


 ハ  

マレーシア

2006年7月に発効。以後1年間の日本とマレーシアの往復貿易額は前年比14.1%(注23)の増加となった。また、2006年の日本からマレーシアへの直接投資は前年比486%の増加(注24)となった。


 二  

チリ

2007年9月に発効。銅、モリブデン、リチウム等の対日最大供給国であるチリとのEPAは、鉱物資源の安定供給確保に貢献するほか、日本企業等による南米地域への経済進出を促すことが期待される。


 ホ  

タイ

2007年11月に発効。日・タイEPAは、日本にとって第7位の貿易相手国であり(注25)、第6位の投資先である(注26)タイとの間で貿易・投資を自由化、円滑化するとの意義があり、また、他の経済分野でも包括的に連携を推進するものとして、両国の更なる経済緊密化に寄与することが期待される。



 (2) 

署名されたもの


 イ  

フィリピン

2004年2月に交渉を開始したフィリピンとのEPAは、2006年9月に署名され、同年に日本の国会で承認された後、現在フィリピン上院での承認手続が進められている。この協定では、日本のEPAとしては初めて、看護師・介護福祉士(及びその候補者)の受入れについて規定している。


 ロ  

ブルネイ

2006年6月に交渉を開始したブルネイとのEPAは、約1年後の2007年6月に署名に至った。この協定では、エネルギーについての独立した章を設けることにより、日本のエネルギー供給元として重要な位置を占めるブルネイからのエネルギーの安定供給に貢献する枠組みを提供している。


 ハ  

インドネシア

2005年7月に交渉を開始したインドネシアとのEPAは、2007年8月に署名に至った。この協定は、ASEANで人口、GDP共に最大の国であり、液化天然ガスの主要な供給国であるインドネシアとの間でエネルギー、鉱物資源の安定供給に貢献する枠組みを設定し、経済連携を包括的に強化するものである。


経済連携強化に向けた取組の現状(2007年12月)

経済連携強化に向けた取組の現状(2007年12月)


 (3) 

交渉妥結したもの(ASEAN)


ASEAN諸国との二国間EPA交渉と並行してASEAN全加盟国との包括的経済連携協定の交渉も進めてきたが、8月の大筋合意に続き、11月の第11回日・ASEAN首脳会議で交渉妥結が報告された。このEPAでは、原産地規則の累積を日本及びASEAN域内で適用することにより、同域内全体で生産ネットワークが強化されることが期待される。

 


日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定について

日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定について


 (4) 

交渉中の協定(韓国、GCC、ベトナム、インド、オーストラリア、スイス)


韓国とは2003年12月に交渉を開始したが、2004年11月以降交渉が中断している。2008年2月25日の日韓首脳会談では、交渉の再開を検討していくこととなった。湾岸協力理事会(GCC:アラブ首長国連邦、バーレーン、サウジアラビア、オマーン、カタール、クウェート)とは、2006年9月に交渉を開始し、現在までに2回の交渉を行っており、ベトナムとは2007年1月から5回、インドとは1月から4回の交渉を行っている。先進国との間でも、オーストラリアとは4月から3回、スイスとは5月から4回の交渉を行っており、質の高い協定を締結することを目指して交渉を続けている。


 (5) 

広域経済連携に向けた取組


東アジアにおける地域経済統合に向けての各種取組についての議論も進展している。2007年に入り、ASEANと日中韓の13か国によるFTA構想が専門家研究の第2段階に入ったほか、日本は、これら13か国に、オーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた16か国によるEPA構想についての民間研究の開始を提案した。この提案は1月の第2回東アジア首脳会議(EAS)で参加各国首脳の同意を得て、11月の第3回EASでは、民間研究の中間報告が行われた。さらに9月のAPEC首脳会議では、アジア太平洋の自由貿易圏構想についても選択肢及び展望の検討を行う旨の報告書が提出、承認された。



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(注23) 財務省貿易統計(2006年7月~2007年6月)
(注24) 財務省統計対外直接投資(2006年)
(注25) 財務省貿易統計(2006年)
(注26) 財務省統計対外直接投資残高(2006年末)
(注27) 累積:ある産品が締約国Aで生産される場合、その生産に使用された締約国Bの原産材料を締約国Aの原産材料とみなすこと。

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