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 3.

国際組織犯罪対策


【総論】


グローバル化や情報通信の高度化、人の移動の拡大等に伴い、人身取引、薬物犯罪、サイバー犯罪、資金洗浄(マネー・ロンダリング)等の国境を越える組織犯罪(国際組織犯罪)が一層深刻化しており、的確な対処のため、国連、G8、金融活動作業部会(FATF)(注1)等において、精力的な取組がなされている。国際組織犯罪は国民の安全・安心の確保に直結する問題であり、日本も国際社会と一致して対処する必要があることから、国際的な取組に積極的に参画している。



【各論】


 (1) 

国際組織犯罪


日本は、国際的な組織犯罪を防止し、これと闘うための協力を促進する国際的な法的枠組みである国際組織犯罪防止条約及びその補足議定書の締結に向けて国内法整備を進めている。

人身取引については、日本は、2004年に策定された人身取引対策行動計画(注2)に基づき、関係省庁との協力の下、人身取引の防止・撲滅及び被害者の保護に向けた様々な施策を鋭意推進している。また、日本とタイの間の人身取引対策協議のための日・タイ共同タスクフォース第2回会合(9月、於:東京)の開催や、被害者の安全な帰国及び帰国後の支援のための国際移住機関(IOM)による「トラフィッキング被害者帰国支援事業」への拠出など、日本は国際社会と協力して人身取引撲滅のための取組を行っている。

公務員に係る贈収賄、公務員による財産の横領等、腐敗に関する問題は、持続的な発展や法の支配を危うくする要因となっている。2006年6月、このような問題に有効に対処するための措置や国際協力等について規定する国連腐敗防止条約を締結することにつき国会の承認を得た。

国連犯罪防止刑事司法委員会は、経済社会理事会の機能委員会として犯罪防止・刑事司法分野における政策形成の中心機関として活動している。1992年の同委員会の発足以来連続して委員国に選出されている日本は、4月に開催された同委員会において、13本の決議案及び2本の決定案の審議・採択に貢献した。

また、2007年度には国連事務局として不正薬物、犯罪、テロの問題に包括的に取り組んでいる国連薬物犯罪事務所(UNODC)に対して、日本は、その国連薬物統制計画基金に約195万米ドルを、また、犯罪防止刑事司法基金に9万6千米ドルをそれぞれ拠出し、その活動を支援した。

G8の枠組みにおいては、刑事法制から具体的捜査手法に至るまで、実務的な観点から専門家レベルで幅広い討議を重ね、日本もこれに積極的に参加した。これらの議論の成果は5月に開催されたG8司法内務閣僚会合において報告された。

一方、情報技術の急速な発展・普及に伴って深刻化したサイバー犯罪に対する国際協力のため、2001年に採択されたサイバー犯罪条約についても、2004年4月、この条約を締結することにつき国会の承認を得ており、締結に向けて国内法整備が進められている。

資金洗浄及びテロ資金対策については、国際的な枠組みであるFATFにおいて国際的基準の策定や対策実施状況の監視、取組が不十分な国に対する是正要請などの活動が行われており、これに日本も積極的に貢献している。FATFは、10月にこの分野でのイランの取組について懸念する声明を発出したほか、大量破壊兵器の拡散資金供与の防止など、新たな視点からの対策についても議論を進めている。


写真・人身取引問題に関する日・タイ共同タスクフォース第2回会合

人身取引問題に関する日・タイ共同タスクフォース第2回会合(9月25日、東京)


写真・人身取引対策に関する英語版広報パンフレット(外務省)

人身取引対策に関する英語版広報パンフレット(外務省)



 (2) 

薬物


国連麻薬委員会は、経済社会理事会の機能委員会として薬物関連諸条約履行を監視し、薬物情勢を分析して統制強化に関する勧告を行う等、薬物政策形成の中心機関として活動している。1961年以降連続して委員国に選出されている日本は、3月に開催された同委員会において、薬物取締機関による情報収集活動等の捜査活動や、薬物情勢の分析に資する薬物分類及び成分分析の活用を促す決議案を提出し、コンセンサス(全会一致)採択に導いた。

また、日本は、国連薬物統制計画基金に拠出した約195万米ドルを、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジア、中国での国境における薬物取締強化プロジェクト(約23万米ドル)、東アジア地域における前駆物質規制プロジェクト(約7万8千米ドル)等の薬物対策のプロジェクトの支援に充てた。

ダブリン・グループ会合(注3)においては、2006年から、角茂樹ウィーン代表部大使が議長を務めているほか、中国及び東南アジア地域のミニ・ダブリン・グループ会合においても、日本がオーストラリアと隔年交代で議長を務め、薬物分野の援助に係る国際的な政策調整に貢献をしている。



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(注1) FATFについては、本節2.「テロとの闘い」への取組(注1)を参照。
(注2) 2004年4月に内閣に設置された人身取引に関する関係省庁連絡会議において策定されたもの。出入国管理強化を含む人身取引の防止、刑法改正及び取締り強化による人身取引加害者の処罰、シェルターにおける被害者の保護等の被害者保護を中心に、包括的な施策が盛り込まれている。
(注3) ダブリン・グループ:主要先進国で薬物関連援助政策等につき相互理解を深め、政策の調整を図ることを目的として、1990年6月、ダブリンにおいて発足した。日本、米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、EU25か国及びUNODCが参加し、ブリュッセルで年2回の全体会合を開いている。また、約70か国の主要な薬物生産国において、ダブリン・グループ参加国の大使館レベルで、ミニ・ダブリン・グループとして同様の協議が催されている。

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