本編 > 第2章 地域別に見た外交 > 第7節 アフリカ > 【各論】 > 2.TICADプロセス
アフリカ開発会議(TICAD)は1993年以降、日本が主導し、アフリカ開発を議論する政策フォーラムであり、現在、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行と共催している。1990年代前半、冷戦終結に伴って、国際社会のアフリカへの関心が低下していたが、1993年の第1回アフリカ開発会議(TICAD I)の開催により、アフリカ問題の重要性を国際社会に再認識させることに貢献した。また、TICADでは、アフリカの「オーナーシップ(自助努力)」と国際社会との「パートナーシップ」を提唱し、アフリカ自身の能力強化と、開発課題に対する主体的な取組を促し、それを支援する国際社会の協力の重要性を訴えてきた。アフリカの自立を目指してアフリカ自身が必要とするものを支援するというTICADプロセスの基本理念は、アフリカの健全で持続可能な発展につながるものとして、アフリカのみならず国際社会からも高い評価を得ている。TICADは、5年に1回の首脳級会議に加えて、貿易や環境等のテーマを絞って閣僚級会議(これまで4回)等が継続して開催されている。このようにTICADプロセスは、日本及び国際社会とアフリカ諸国との対話を通じ、アフリカ開発の方向性を示す等、日本の対アフリカ外交の基軸となっている。
アフリカ開発の国際的枠組み
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第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)
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日本は、2008年5月28日から30日、横浜において第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を開催する。TICAD IVでは、近年のアフリカにおける政治・経済両面での前向きな変化を後押しするため、「元気なアフリカを目指して(Towards a Vibrant Africa)」との基本メッセージの下で、[1]成長の加速化、[2]「人間の安全保障」の確立、[3]環境・気候変動問題への対処の3つを重点項目として議論する予定である。なお、TICAD IVの会期中、2006年に創設が決定された「野口英世アフリカ賞」の第1回授賞式が予定されている。
2007年2月には、ダルエスサラーム(タンザニア)において、第4回アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム(AABF IV)が、アジア・アフリカ間の貿易投資促進を図り、アフリカのビジネス環境についてアジア諸国に情報提供を行うことを目的として開催された。同会合は、アフリカとアジアの企業に対して商談の場を提供し、日本企業10社を含むアジア、アフリカ企業153社が参加した。3月には、ナイロビ(ケニア)において、TICAD「持続可能な開発のための環境とエネルギー」閣僚会議が開かれ、アフリカの環境問題、エネルギー問題が持続可能な開発にとって重要であり、相互が密接に関係していることについて議論が深められた。10月、11月には東・南部アフリカ諸国、北・西・中部アフリカ諸国を対象としたTICAD IV地域準備会合がそれぞれルサカ(ザンビア)、チュニス(チュニジア)で開催され、TICAD IVに向けて個別の重点項目について議論が深められた。2008年3月には、TICAD IVに向けた準備プロセスの集大成として、全アフリカ諸国の閣僚がリーブルビル(ガボン)に集まり、TICAD IVで打ち出す成果について議論し、5月のTICAD IV本番に備えることになる。
日本においては、アフリカ問題に対する関心は必ずしも高いとはいえず、アフリカの現状や国際社会による支援について十分に認知されていないというのが現状である。2008年のTICAD IV開催を契機に国民各層のアフリカ問題に対する理解・関心を促進するため、開催地である横浜市をはじめとする協力者を得て、アフリカの前向きで明るい側面に焦点を当てた様々な文化事業やスポーツイベント、さらには子供たちへの国際理解教育活動の実施に向けた準備が進められている。
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