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   第7節   


アフリカ

マップ・アフリカ


【総論】


1.

2007年のアフリカ

2007年、アフリカでは平和と安定に向けた動きが見られた。具体的には、3月、コートジボワール和平に関しワガドゥグ合意が成立、同月モーリタニアでは民政移管プロセスが完了、7月にスーダン西部ダルフール地域への国連・アフリカ連合(AU)合同ミッション(UNAMID)派遣が決定、8月、9月にはシエラレオネで国連PKO撤退後初の大統領選挙が平穏に実施されたこと等が挙げられる。その一方で、エチオピア・エリトリア間の緊張の高まり、ソマリアへのAU平和維持部隊(AMISOM)展開の遅延、引き続き不安定なスーダン情勢、コンゴ民主共和国東部の情勢悪化等、残された課題も多い。

経済面は総じて好調(注1)で、石油・鉱物資源等の天然資源が豊富な諸国(注2)での急激な経済成長に加え、それ以外の多くの国々においても高い経済成長が見られるなど、経済発展に向けた肯定的な兆しが見られる(注3)。その一方で、内政が安定しない国家の経済成長率は低い水準にとどまっており(注4)、大陸内での格差が生じつつある。また、こうした成長基調が貧困削減や開発に結び付いているとは必ずしもいえず、アフリカ諸国のミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた見通しは立っていない(注5)のが実情である。

国際社会においては、アフリカ支援が重要な政策課題となっている。特に近年、中国、インド等の新興ドナーの台頭が明確になりつつあり、こうした新興ドナーとの協力関係の構築が新たな検討課題となっている。


アフリカの潜在的経済力と日・アフリカ経済関係

アフリカの潜在的経済力と日・アフリカ経済関係

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2.

日本の対アフリカ外交

日本は、[1]アフリカに集中する世界的課題の解決に向けた国際社会の責任ある一員としての応分の貢献、[2]国連加盟国の約3割を占めるアフリカ諸国との関係強化を通じた外交基盤強化、[3]資源に恵まれ将来的に大きな市場となることが期待されるアフリカとの経済関係の深化の3点を目指し、アフリカ開発に関する世界最大級の政策フォーラムである「アフリカ開発会議(TICAD)(注6)」プロセスを基軸に、積極的な対アフリカ外交を展開している。

特に、2008年には第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に加え、G8北海道洞爺湖サミットが日本で開催され、アフリカや開発の問題が大きくとりあげられる見込みである。これらの問題について日本がG8各国の外交努力を結集し、主導的役割を果たすことが期待されており、現在、アフリカに関するG8首脳個人代表による議論やアフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)の準備等を通じて、G8北海道洞爺湖サミットに向けた準備を進めている。


(注1) 経済協力開発機構(OECD)/アフリカ開発銀行(AfDB)の5月時点の分析では、2007年にマイナス成長が予測されたのはジンバブエのみ(OECD/AfDB, 2007)。
(注2) アンゴラ、スーダン、赤道ギニア等(OECD/AfDB, 2007)。
(注3) 世界銀行によれば、アフリカ全体での2006年のGDP成長率は5.6%であり、OECD諸国の成長率(2.9%)を大きく上回っている(World Bank, Key Development Data & Statistics)。
(注4) チャド、ジンバブエ、トーゴ、コートジボワール等(OECD/AfDB, 2007)。
(注5) 国連経済社会局によれば、アフリカ諸国のMDGs進捗状況は、ほとんどの指標において「進展なし」もしくは「2015年までの達成は不可能」という評価(UNDESA, 2007)。
(注6) “Tokyo International Conference on African Development”

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