11月20日、21日の2日間、エジプトの地中海に面した港町アレキサンドリアで、「日本・アラブ会議(Japan-Arab Conference)」が開催されました。この会議は、5月2日に、安倍総理大臣とムバラク・エジプト大統領との首脳会談で開催が合意されたものです。この日本・アラブ会議は、アレキサンドリア図書館(セラゲッディーン図書館長)が主催し、アラブ側は16か国約150名、日本からは100名以上が参加しました。このような規模で日本とアラブ諸国の間で国際会議が開催されたことは今までありませんでした。
本会議では、「New Dawn:Arabs Looking East(新しい夜明け:東方に目を向けるアラブ)」というテーマで、日本とアラブ諸国の各界有識者が、どのように相互の関係を構築していくかという点について、意見交換を行いました。全体セッションのほか、政治外交、経済財政、文化社会、科学技術・環境の4つの分科会が行われました。どのセッションでも、アラブ側参加者から日本に対する大きな期待が寄せられ、率直に、時には批判的に日本の政策への意見が出されました。その中で、アラブ側参加者から多く聞かれた意見は、「アラブ諸国は今、改革のために努力しているが、グローバリゼーションの時代において、自分たちの伝統や文化を維持しながら近代化を推進していくことが重要だ。日本はその手本となる。」という前向きなものでした。そして、日本がこのアラブ側の期待にこたえつつ、経済開発のみならず人材育成にも貢献することで、日本とアラブ諸国の関係が強化され、そのことが日本の安全保障の強化にもつながるということで意見が一致しました。
4月~5月の安倍総理大臣の中東諸国歴訪の際には、「日本・中東新時代:重層的関係の構築」が強調されました。「日本・アラブ会議」でも、エネルギーの経済軸を中心としつつ、政治、文化、科学技術等あらゆる分野で相互理解を深め、パートナーシップを強化していく重要性について、多くの参加者から指摘がなされました。お互いの関係強化の方向性について、政府間だけでなく、日本・アラブ諸国の有識者間においても認識の共有が進んだことは、会議の大きな成果といえます。今後は、日本がどのようにアラブ側の期待にこたえていくかが課題です。
「日本・アラブ会議」開会セッションの様子 |
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