第6節中東と北アフリカ |
中東地域の平和と安定の確保は、国際社会全体の平和と繁栄に直結する問題であり、また日本は原油のおよそ9割を中東地域から輸入していることから、日本のエネルギー安全保障にとっても死活的に重要である。しかしながら、中東地域では、中東和平問題、不安定なイラク及びアフガニスタン情勢、イランの核開発問題など、地域の安定を脅かす問題を抱えている。
このような状況を踏まえ、日本は、国際社会と連携しつつ中東地域の平和と安定の確保を図ること、また、日本のエネルギー安全保障を図ることの2点を主要な目標として、中東外交に積極的に取り組んでいる。
2007年については、4月から5月にかけて安倍総理大臣が、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタール、エジプトの中東5か国を訪問し、二国間関係の強化、エネルギー安全保障の確保、中東地域の平和と安定を含む国際社会における諸問題に関する協力などについて、各国首脳との間で意見交換を行った。
また、麻生外務大臣も5月にエジプトで開催された「イラク安定化に関する周辺国拡大外相会合」に出席し、イラク問題への積極的取組を表明したほか、8月にはヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区を訪問し、日本独自の取組である「平和と繁栄の回廊」構想の4者協議閣僚級会合を現地で開催するなど、中東和平問題にも積極的に取り組んだ。
さらに、日本の対中東政策に対する各国の理解を得るとともに、相互理解を深めるため、中東諸国との間で対話を行うプログラムも進められている。11月には、「日本・アラブ対話フォーラム」第5回会合及び「日本・アラブ会議」がエジプトのアレキサンドリアで開催された。