2. |
カナダ |
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日加関係 |
両国は全般的に良好な関係を有しており、2007年も二国間関係の強化につながる様々な交流が行われた。首脳または外相レベルでの両国間の訪問こそなかったものの、3回の外相会談(電話会談を含む)及び11月の首脳電話会談において、2008年の日加修好80周年に向けて良好な二国間関係を一層促進させるべく協力すること、また、「テロとの闘い」及びアフガニスタン復興の重要性等につき一致した。6月には、第6回日加安保シンポジウムが開催され、東アジアの安全保障情勢及び中東・アフガニスタン和平等に関して、両国政府関係者・有識者による意見交換がなされたほか、8月には日加友好議員連盟がカナダを訪問した。
経済面では、今後の二国間経済関係を強化する上で追求すべき多くの取組をとりまとめた共同研究報告書が10月に完成し、同報告書をフォローアップする第21回日加次官級経済協議が2008年1月に東京で開催されるなど、「日加経済枠組み」の下で、様々な投資、貿易促進のための取組が積極的に進められている。
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カナダ情勢 |
2年目を迎えたハーパー政権は京都議定書の義務履行が困難であるとの立場を政権発足後早々に明確にしたことにより、国内の批判や関心が集まっている環境問題について、政府の体制を強化すること等を目的として、1月に環境相の交代を中心とした第1回内閣改造を行った。8月には、アフガニスタン派兵を巡る論争が加熱してきたことを受け、国際社会におけるカナダのアフガニスタン派兵の重要性をより効果的に説明できるマッケイ前外相を国防相に就任させるべく、第2回内閣改造を行った。これにより、同月、新外相としてそれまで産業相を務めたケベック州出身のベルニエ氏が就任した。
ハーパー政権は、10月の議会開会に際し、「カナダの主権と世界での位置付けの強化」、「環境とカナダ国民の健康の保護」、「長期的繁栄に向けた経済政策」、「連邦制度と民主的機構の現代化」及び「コミュニティの安全」を重点5分野とすることを発表した。同政権は内政重視ではあるが、外交面では自由・民主主義等の価値の重要性を強調し、国際協力及び国防能力の強化に取り組んでいる。特に、アフガニスタン南部地域のカンダハールを中心に約2,500名のカナダ軍を派遣するなど、同国の治安の回復・復興支援に積極的に貢献している。また、対米関係を重要な施策の一つとしてとらえており、中南米諸国との関係の再活性化を目指す姿勢をとっている。
カナダ経済は、好調な個人消費支出に支えられ、近年3%前後の成長率を遂げている。原油価格の高騰等に起因するカナダ・ドルの対米ドル高は、2007年には、変動相場制開始の1950年以降の最高値を記録した。このような為替や米国経済の鈍化の影響で、2007年、2008年のGDP成長率はそれぞれ2.6%、2.4%の見通しであるが、物価上昇率や失業率等の経済指標は安定しており、G7各国の中でも1、2位の成長率を維持している。
財政面では、1997年度に均衡財政を達成して以来、2006年度まで10年続けて財政黒字を計上しており、健全な財政運営が続いている。