2. |
中国等 |
(1) |
中華人民共和国 |
イ |
首脳の相互往来 |
<温家宝(おんかほう)国務院総理の訪日> |
4月11日~13日、温家宝(おんかほう)国務院総理が日本を訪問した。安倍総理大臣との会談では「戦略的互恵関係」の構築に向けた数多くの具体的協力について話し合われ、その成果が「日中共同プレス発表」として発表されるとともに、会談後には、環境協力及びエネルギー協力についてそれぞれ共同声明への署名が行われた。
また、温家宝総理は、国会で演説し、今後の日中関係を発展させるための考えと決意を示したほか、ジョギングやキャッチボール、地方訪問等を通じて市民との交流も行った。日中関係の発展を確かなものとする上で、有意義な訪日となった。
<福田総理大臣の訪中> |
12月27日~30日、福田総理大臣は、中国を訪問し、胡錦濤(こきんとう)国家主席、呉邦国(ごほうこく)全国人民代表大会常務委員会委員長、温家宝国務院総理と会談を行い、アジア及び国際社会における日中協力の重要性と日中両国が担うべき責任につき一定の認識を共有した。また、「戦略的互恵関係」の具体化について、気候変動や環境・エネルギー等の互恵協力、安全保障分野での交流、青少年交流、知的交流等を通じた相互理解の促進、北朝鮮、国連安保理改革、反テロ等の地域・国際社会における協力等幅広い分野において率直な意見交換が行われ、環境・エネルギー協力、気候変動問題を対象とした科学技術協力、磁気核融合関連研究分野における協力に関する共同文書等が発出された。福田総理大臣は、北京大学で講演し、その模様は中国国内で生中継された。また温家宝総理とキャッチボールを行ったり、経済成長著しい天津と孔子の故郷である山東省曲阜を訪問した。今回の訪問は、首脳間の信頼関係を強化し、中国国民の対日理解を深める上でも有意義な訪問となった。
訪問先の中国で胡錦濤・中国国家主席(右)と会談する福田総理大臣(左) |
2007年の主な日中政府間対話
|
ロ |
様々なレベルでの対話 |
日中両国は、様々なレベルで対話を重ねている(図表「2007年の主な日中政府間対話」を参照)。首脳レベルでは、温家宝総理の訪日及び福田総理大臣の訪中に加え、国際会議の機会をとらえ、1月(ASEAN関連首脳会議、温家宝総理)、6月(G8ハイリゲンダム・サミット、胡錦濤国家主席)と11月(ASEAN関連首脳会議、温家宝総理)に首脳会談を行ったほか、9月には温家宝総理との間で電話会談を実施した。なお、9月には賈慶林(かけいりん)中国人民政治協商会議全国委員会主席が訪日した。外相レベルでは、2月に李肇星(りちょうせい)外交部長が訪日した。12月には高村外務大臣が第1回日中ハイレベル経済対話の機会に訪中して外相会談を行い、「戦略的互恵関係」の構築に向け意見交換を行った。また、国際会議の機会をとらえ、4月(SAARC首脳会議)、5月(ASEM外相会合)、6月(日中韓外相会議)、8月(ASEAN関連外相会議)、9月(APEC閣僚会議、国連総会)に外相会談を行い、また、6月には電話会談を行った。事務レベルでは、1月に日中戦略対話(次官級)が行われたほか、関係当局間でも閣僚級協議や実務レベル協議が幅広く行われた。
また、両国の外交当局が事務局を務める民間有識者の会議である「新日中友好21世紀委員会」の第6回会合が6月に秋田県において開催された。また、首脳間の合意に基づき実施されている「日中歴史共同研究」の第2回会合が3月に行われ、2008年中に報告書が両政府に提出される予定である。
国連総会における日中外相会談(9月29日、米国・ニューヨーク) |
ハ |
活発な人的交流と相互理解の深化 |
<活発な人的交流> |
(イ) | 日中間の人的交流の現状 |
2006年、日中間の人的往来は約473万人(訪日者数約98万人、訪中者数約375万人)に達し、中国における在留邦人数は12万5,000人、日本に居住する中国籍の外国人登録者数は56万人を超えるなど、日中間の人的交流が引き続き拡大した。さらに、国交正常化記念日(9月29日)に羽田と上海虹橋間にチャーター便が開設された。また、2007年5月には、中国人団体観光査証の受付が在瀋陽総領事館及び在大連出張駐在官事務所でも開始されたことで、在中国全公館にて行われるようになった。12月の福田総理大臣訪中時には、福田総理大臣より中国国民団体観光査証の緩和措置(2008年3月から少人数の家族観光も実現)を表明するとともに、国会の承認を前提に2008年度の在青島総領事館の開設を表明した。12月の高村外務大臣訪中時には、人的交流の拡大に伴う諸問題に対応する等の観点から、日中刑事共助条約が署名された。
(ロ) | 「日中文化・スポーツ交流年」 |
日中両国は、国交正常化35周年である2007年を「日中文化・スポーツ交流年」とし、日中の国民レベルでの交流を飛躍的に拡大させるため、1年間で、両国で300件を超える記念事業を実施した。文化親善大使に女優の酒井法子さん、スポーツ親善大使に卓球選手の福原愛さんが任命され、「日中スーパーライブ」(於:北京)、「日中のお祭り」(於:北京・王府井)、「江蘇省ジャパンウィーク」(於:南京)、「グランドフィナーレ・コンサート」(於:北京・人民大会堂)等の文化イベントや、「日中議員サッカー交流」(於:大連)、「日中大学野球交流戦」(於:神宮球場)等のスポーツ交流が行われた。
「日中文化・スポーツ交流年」の一環として開催された「日中のお祭りin北京」(石見神楽のステージ)(9月15日、中国・北京) |
また、日本から直行便のある中国の19都市との相互訪問を柱とした「3万人交流事業」が実施され、日中両国民が各地で行われた交流行事に参加した。
(ハ) | 青少年の相互理解の深化に向けて |
2006年から開始された日中高校生交流事業である「日中21世紀交流事業」は、2007年度から「21世紀東アジア青少年大交流計画」の一環として更に強化された。中国人高校生約2,000名が日本に招聘され、ホームステイや学校交流など様々なプログラムを通じて相互理解を深めた。また、中国政府の招聘により約300人(2008年1月時点)の日本の高校生も中国を訪問した。また、11月にシンガポールで行われた日中首脳会談において、福田総理大臣と温家宝総理は、日中平和友好条約締結30周年に当たる2008年を「日中青少年友好交流年」とすることで一致し、12月の福田総理大臣訪中時にその活動に関する覚書が署名された。日中両政府は、「日中文化・スポーツ交流年」を通じて高まった日中交流の機運の下、この覚書に基づき、2008年以降の4年間に毎年4千人規模の青少年交流を実施していく予定である。
中国の高校生と懇談する宇野外務大臣政務官(「21世紀東アジア青少年大交流計画」)(11月13日、東京) |
二 |
経済関係の深化 |
(イ) | 日中経済関係の発展 |
日中間の貿易・投資等の経済関係は中国のWTO加盟を契機に大きく発展している。2007年の香港を除く日中貿易総額は、27兆8,676億円となり、暦年ベースで初めて日米貿易総額を上回った(注1)。また、中国側統計によれば、2007年の日本からの対中直接投資は36億米ドルで、前年に引き続き減少したものの、国としては第2位の規模となっている(注2)。
経済分野における「戦略的互恵関係」を推進するため、4月の温家宝総理訪日時に日中経済関係や地域と国際経済の諸課題について大所高所から議論する日中ハイレベル経済対話の立ち上げ会合が両首脳出席の下に開催された。12月には、高村外務大臣及び曾培炎(そばいえん)副総理を共同議長とし、双方の経済閣僚も一堂に会して第1回の対話が行われ、[1]双方のマクロ経済政策、[2]気候変動を含む環境・省エネ、[3]貿易・投資、[4]地域及び国際的な経済問題の4つの議題について率直かつ詳細な議論が行われ、その成果がプレス・コミュニケにまとめられた。
環境・エネルギー分野では、4月の温家宝総理訪日時に環境保護協力及びエネルギー協力についてそれぞれ共同声明が発出された。12月の福田総理大臣訪中時には、福田総理大臣より中国各地で日本の技術を紹介する「省エネ・環境協力相談センター」の設置や3年間で1万人の研修実施等を表明し、また、環境・エネルギー分野における協力推進に関する共同コミュニケが発出された。
(ロ) | 対中国経済協力 |
近年、中国が沿海部を中心に著しい経済発展を遂げていること等を背景に、日本の対中政府開発援助(ODA)も大幅な減少傾向にある。このうち、対中ODAの大部分を占める円借款については、12月1日の高村外務大臣訪中時に、両外相の間で、最後の新規供与となる2007年度案件の交換公文への署名が行われた。
無償資金協力については、日本にも直接影響が及ぶと見られる中国の環境汚染や感染症等の問題、日中両国民間の相互理解の増進に資する分野において、また、技術協力については、これらに加え、市場経済化や国際ルールの遵守、良い統治の促進、省エネに資する案件等を中心に実施している。
このように、政府としては、日中両国が利益を共有する分野での協力を深めていくことが日中関係にとっても重要と考えており、対中ODAについては、今後とも、日本の国益を踏まえつつ、個々の案件を精査しながら日中関係全体の進展に資するような形で実施していく考えである。
日中経済関係
第1回日中ハイレベル経済対話(12月1日、中国・北京) |
ホ |
個別の分野における懸案 |
(イ) | 東シナ海資源開発問題 |
それまでの累次協議を踏まえ、4月の温家宝総理訪日時には、東シナ海を平和・協力・友好の海とすべく、双方が受入れ可能な比較的広い海域で共同開発を行うこと等について首脳間で一致した。その後、この共通認識に基づき双方の立場の違いを乗り越えるため、累次にわたる局長級協議等において真剣に実質的な議論が行われ、さらに、首脳及び外相レベルでも議論が行われた。12月の福田総理大臣訪中時には、具体的な解決方策について積極的な進展が得られたことを確認する等の内容を含む両国首脳間の新たな共通認識が発表されるとともに、両首脳は、これまでの協議を通じ互いの立場についての相互理解が深まったことを確認し、この問題を早期に決着させるという断固たる決意の下、協議を継続していくことで一致した。
(ロ) | 遺棄化学兵器問題(注3) |
吉林省ハルバ嶺地区(注4)ほか中国各地の旧日本軍の遺棄化学兵器を廃棄するため、現在日中共同で作業が進められている。4月には、ハルバ嶺事業の事業主体となる日中遺棄化学兵器処理連合機構の設立について、日中間で正式に合意に達した。同月の温家宝総理訪日時の首脳会談においては、安倍総理大臣より移動式処理設備の導入を表明し、温家宝総理はこれを歓迎した。その後、12月の福田総理大臣の訪中時には、首脳間で遺棄化学兵器処理事業の廃棄のプロセスを加速していくことで一致した。今後とも化学兵器禁止条約の義務を履行すべく日中共同で対処していく考えである。
ヘ |
中国情勢 |
(イ) | 内政(経済を含む) |
2007年の中国のGDP(名目額)は24兆6,619億元、実質成長率は11.4%となり(注5)、輸出及び投資が牽引する形で5年連続の2桁成長を記録した。貿易黒字は2,622億米ドル、外貨準備は1兆5,282億米ドル(2007年12月末現在)と、いずれも過去最高となった。中国当局は、預金準備率や金利の引上げ、銀行貸付の窓口規制など、金融引締め策を強化したが、固定資産投資、特に不動産投資は高水準で推移した。また、消費者物価は食料品を中心に上昇傾向を強め、前年比上昇率は2006年の1.5%を3.3ポイント上回る4.8%となった。また、物権法、労働契約法、独占禁止法が制定される等、経済法制度の整備が進んだ(注6)。
10月の第17回共産党大会(注7)においては、胡錦濤指導部が提唱する政策理念である「科学的発展観」や「調和のとれた社会(和諧社会)」が党規約(注8)に盛り込まれ、人間本位でバランスのとれた持続可能な発展を目指すことが重要な指導方針として確認された。党指導部人事では、胡錦濤総書記が再任されたほか、党中央政治局常務委員に地方トップで50代の習近平(しゅうきんぺい)上海市書記と李克強(りこくきょう)遼寧省書記等が選出された(注9)。また、党大会と前後して中央及び地方の党・政府幹部の交替が進んだ(注10)。
党大会での政治報告(注11)では、国民一人当たりのGDPを2020年までに2000年の4倍増とする数値目標(注12)を掲げるとともに、農村振興や民生問題(所得分配、医療・教育、雇用、住宅等)の解決といった大衆の利益を重視し、環境や資源に配慮した発展を目指すことが強調された。また、党大会代表の任期制や党務公開等の「党内民主」と汚職・腐敗対策の制度化を推進することに加えて、共産党の指導の下で国民の政治参加を拡大することに言及した(注13)。その一方で、メディア、弁護士やNGO等に対する規制が多いとの指摘もある。
今後、2008年夏に北京五輪が開催される中、インフレの抑制、格差の是正、腐敗対策、環境保護や省エネといった諸課題で中国指導部がいかなる成果を上げ、安定的な発展を維持するかが注目される。
(ロ) | 中国の対外関係 |
(a) | 外交関係 |
中国は、持続的な経済発展を維持し総合国力を向上させる上でも、平和で安定した国際環境が必要であるとの基本認識の下、引き続き全方位外交を展開している。米国との安定的な関係を模索しつつも、東南アジア、ロシア、インドなど近隣諸国に対し、世界の「多極化」を志向した積極的な外交を行っているほか、中東、アフリカ、中南米に対しても活発な資源・エネルギー外交を展開している。また最近では、APEC、ASEAN+3などの地域間協力枠組みや上海協力機構(SCO)、六者会合等にも積極的に参加するなど、多国間外交も活発化させている。
対米関係においては、5月にポールソン財務長官と呉儀(ごぎ)副総理を議長とする第2回米中経済戦略対話を開催、6月には、ネグロポンテ国務副長官と戴秉国(たいへいこく)外交部副部長との間で第4回米中シニア対話を開催した。11月、ゲイツ国防長官が訪中し、国防当局間のホットラインを設置することで合意、また、12月には第3回米中経済戦略対話を開催した。近年、米国は中国と各分野での対話を重ねる一方で、中国の対米貿易黒字、人民元改革、知的財産権保護等の経済問題が両国間の懸案として浮上している。また、5月に発表された米国防省の「中華人民共和国の軍事力に関する年次報告」は、透明性を伴わない中国軍事力の近代化への懸念を表明している。
(b) | 軍事・安保情勢 |
中国は、海空戦力・戦略ミサイルを中心に軍事力の近代化を進めるとともに、上海協力機構による合同軍事演習「平和の使命2007」への参加(8月)や海軍艦艇の外国訪問等他国との軍事交流を盛んに行っている。一方で、19年連続で前年比10%以上の伸び(2007年公表額)を示す国防費の内訳や軍事力の近代化に不透明な部分があり、衛星破壊の実験(1月)についても懸念を払しょくするに足る説明がなされていないことから、日本は曹剛川(そうごうせん)国防部長の訪日(8月)等の累次の機会を通じ、より一層の透明性向上を中国に対して求めている。なお、11月末に中国海軍艦艇が初めて訪日し、2008年には海上自衛隊の艦艇が中国に派遣される予定である。
(2) |
台湾 |
2008年3月の総統選挙(注14)を控え、民進党と国民党を中心として選挙に向けた活動が活発に行われている。
民進党政権は、台湾内では、機関名や公的な場所の名前を正す「正名運動(注15)」を展開し、対外的には、台湾名義による世界保健機関(WHO)や国連への加盟申請を行った(注16)。また、民進党が進める台湾名義による国連加盟の是非を問う公民投票(総統選挙の際に実施予定)について、中国側が強く反発したこともあり、国際社会はこれによる中台関係の緊張に関心を示した(注17)。2008年1月12日の立法委員選挙では野党国民党が大勝した。
経済面では、日本の新幹線システムを一部導入した台湾高速鉄道が3月に開通した。なお、2006年の年間成長率は5.70%、失業率は3.91%だった。
日本との関係については、1972年の日中共同声明に従い、非政府間の実務関係として維持されている。日本にとって台湾は緊密な経済関係を有する重要な地域であり、第4位の貿易相手となっている。人的往来の面では、2006年の日本から台湾への訪問者数は約116万人、台湾から日本への訪問者は約135万人となった。
日中文化・スポーツ交流年を振り返って |
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私は、2007「日中文化・スポーツ交流年」の文化親善大使として、様々なイベントに参加させていただきました。 2007年4月に、温家宝総理が来日された際には、歓迎レセプションで花束をお渡しし、たいへん喜んでいただきました。また、交流年のメインイベントとして行われた「日中のお祭りin北京」の応援をするために、9月に北京を訪れました。北京随一の繁華街・王府井で開催され、10万人もの観衆の中、日中のお祭りの協演で、大いに盛り上がったことが今でも鮮明に記憶に残っています。 さらに交流年の閉幕イベントとなる「グランドフィナーレ・コンサート」では、日中のアーティストの皆さんと協演しました。北京の人民大会堂での開催ということもあり、緊張しましたが、多くの声援をいただき、しっかり歌いきることができました。 このように、文化親善大使として数多くの交流を行い、中国の方々に日本の文化を知っていただく機会を持つことができ、微力ながら日中友好に貢献できたと思っております。 今後、この2007「日中文化・スポーツ交流年」を契機に、さらに日中両国の絆が深まるように願っております。 文化親善大使 酒井 法子(女優) |
日中文化・スポーツ交流年を振り返って |
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私は3歳9か月で初めて卓球のラケットを握り、現在も競技者として卓球を続けています。幼いころから中国各地へ合宿や大会で訪れることが多く、今では中国語も話せるようになりました。そのような縁もあり、2007「日中文化・スポーツ交流年」でスポーツ親善大使として任命され、1年間スポーツ親善大使としての活動をしました。 特に思い出に残っているのは、上海の小学校を訪れ、小学生と卓球を通じての日中交流を行ったことです。 小学生たちは、みんなとても元気があり、何より驚いたのは正確できれいなフォームをしていることでした。中国の子供達は小さいころからしっかりと基礎が出来ているので、世界で活躍できる強い選手がたくさん育つのだと改めて感じました。 私も小学生時代に中国の有名な卓球選手と出会い、「いつかあんな選手になりたいな」と思いましたが、みんなの眼が輝いているのを見て、まるで昔の自分を見ているように感じました。 2008年はいよいよ北京オリンピックが開催されますが、慣れ親しんだ中国での大会となりますので、自分の成長を日本そして中国の多くの方に見て頂けるように、メダルを目指して頑張りたいです。 私の好きな卓球を通して、競技以外でも卓球交流を行うことが、日中友好のために少しでも役に立っていれば、本当に嬉しく思います。 スポーツ親善大使 福原 愛(卓球選手) |
(3) |
モンゴル国 |
2008年総選挙を控え、10月末に開かれた最大与党・人民革命党の臨時党大会で党首であるエンフボルド首相に代わりバヤル幹事長が新党首に選出され、11月22日新首相に就任した。バヤル連立内閣では、1998年に暗殺された民主化リーダーのゾリグ氏の実妹で、ゾリグ氏と共に親日派・知日派として知られるオヨーン国民勇気党党首が外相として入閣した。
経済面では、鉱物資源(コークス炭・金・銅)の大規模開発に向けた各国の活発な動きや首都ウランバートルの建設ラッシュなどが続く一方、金融不安や雇用の低調による人材の国外流出といった問題も未解決のままである。
日本との関係では、2007年は外交関係樹立35周年の節目に当たることから、「モンゴルにおける日本年」と定められ、数多くの文化・スポーツ関係者によって多彩なイベントが繰り広げられた。2月にエンフバヤル大統領が公式実務訪問賓客として訪日し、安倍総理大臣との首脳会談が行われた。両首脳は会談後、「総合的パートナーシップ」を具体的に推進するための「今後10年間の日本・モンゴル基本行動計画」を発表した。同計画では、日本企業の投資促進をより一層促進することを目的とする両国官民関係者による合同協議会の立ち上げが提唱され、これを受けて鉱物資源開発、貿易・投資拡大のための協議会がそれぞれ実施された。5月には浅野外務副大臣が訪問し、エンフバヤル大統領をはじめとする要人と会談した。7月には、皇太子殿下が御訪問になり、同大統領をはじめとする要人との御接見や地方御訪問を通じ、モンゴル各界との友好親善に努められた。
「今後10年間の日本・モンゴル基本行動計画」に署名したエンフバヤル・モンゴル大統領(左)と安倍総理大臣(右)(2月26日、東京・首相官邸 写真提供:内閣広報室) |
モンゴルを訪問し、エンフバヤル・モンゴル大統領(左)と会談する浅野外務副大臣(右)(4月30日、モンゴル・ウランバートル) |