第3章 分野別に見た外交


2.経済連携協定の推進

 日本は、WTOを中心とする自由貿易体制の強化・発展を対外経済政策の基本としつつ、それを補完するために、EPA/FTA (注16) も推進している。EPA/FTAは、価値観を同じくするパートナーづくりの側面もあり、政治・外交戦略上の観点からも、日本にとって有益な国際環境の形成に資するものである。そのため日本は、東アジアとのEPAを重要な課題と位置付けつつ、チリ、インドネシア、ブルネイ、湾岸協力理事会(GCC)など、資源・エネルギー面で重要な国・地域との交渉も積極的に進めた。

 特にEPA交渉を迅速に進めるため、日本は3月の経済連携推進に関する主要閣僚打合せにおいて確認された交渉加速化策に基づき、交渉の当初から条文の雛形を提示することや、相手により交渉内容を絞ることなどを行った。その結果、2006年には交渉開始から6か月でブルネイとの交渉が、また7か月でチリとの交渉が大筋合意に達するなど、交渉が加速化した。

▼EPA交渉の現状と見通し

 また日本は、2005年から民間専門家によって研究会が実施されているASEANと日中韓の13か国からなるFTA構想に、オーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた16か国によるEPA構想について、民間専門家による研究を提案した。さらに、2006年11月に行われたAPEC首脳会議ではアジア太平洋の自由貿易圏構想が議論された。




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