第3章 分野別に見た外交 |
(5)科学技術分野の国際協力
科学技術の二国間協力推進のため、日本は、各国との科学技術協力協定に基づく定期的な政府間会合等を通じて、科学技術政策等に関する意見交換や、共同研究案件を協議している。2006年には、ウクライナ、ロシア、フランス、スウェーデン、米国、イスラエル、南アフリカ、英国、ドイツ、オーストラリアとの間で会合を開催し、テロ・犯罪対策、宇宙、海洋、ライフサイエンス、研究者交流等多岐にわたる分野の科学技術協力を議論した。 多国間の国際協力プロジェクトの推進例としては、以下の分野で日本は積極的に取り組んでいる。 資源エネルギーの分野では、核融合エネルギーが将来のエネルギー源の一つとして期待されているが、日本は国際共同プロジェクトである国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進している。11月21日にはイーター機構設立協定が署名され、初代のイーター事務局長として、池田要前クロアチア大使が就任予定である。 宇宙分野では、日本は、国連宇宙空間平和利用委員会に参加し、国際的な法的枠組みづくりを進めるとともに、宇宙での実験を行う研究所を建設する国際宇宙ステーション(ISS)計画に各国と共同で参加している。ISS計画の中で、日本初の有人実験施設(「きぼう」)が打ち上げられる予定であるほか、日本は、ISSへの物資輸送手段の一つとして、宇宙ステーション補給機(HTV:H-II Transfer Vehicle)の開発に取り組んでいる。 地球観測の分野では、日本は各国と協力し、アルゴ計画(高度海洋監視システム) (注45) 、統合国際深海掘削計画(IODP)等を中心的に推進している。また、地球観測グループ(GEO)では、全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画に積極的に取り組んでいる。 不拡散分野では、ソ連崩壊に伴う大量破壊兵器関連技術の拡散防止のための国際科学技術センター(ISTC)に参加し、旧ソ連諸国で大量破壊兵器の研究開発に従事していた研究者・技術者の民生転換を支援している。日本は、ISTCのプロジェクトに対し、これまで約6,000万ドル(2006年現在)の支援を行っている。 |
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