第3章 分野別に見た外交 |
(3)国際組織犯罪
日本は、国際的な組織犯罪を防止し、これと闘うための協力を促進する国際的な法的枠組みである国際組織犯罪防止条約及びその補足議定書の締結に向けて国内法整備を進めている。 人身取引については、人身取引対策行動計画 (注11) に基づき、人身取引の防止、撲滅及び被害者の保護に向けた様々な諸施策を関係省庁との協力の下、鋭意推進している。また、人身取引被害者送り出し国や目的国の政府と有効な人身取引対策について協議を行い、国際社会で協力して人身取引撲滅への取組を行っている。2月には東京において「人身取引問題に関する国際シンポジウム」を開催し、また5月には関係国との情報共有のため、インドネシア、タイに政府協議調査団を派遣した。さらに9月には人身取引関係国際機関調整会合が外務省にて開催された。 公務員に係る贈収賄、公務員による財産の横領等の腐敗に関する問題は、持続的な開発や法の支配を危うくする要因となっている。6月、この問題に有効に対処するための措置等を規定する国連腐敗防止条約を締結することにつき国会の承認を得た。 国連の枠組みにおいては、4月、犯罪防止刑事司法委員会が、犯罪防止・刑事司法分野における12本の各種決議案の審議・採択をし、国際的取組の方向付けを行った。日本も、「人身取引防止・被害者保護における国際協力の強化決議案」を提出する等、積極的に議論に貢献した。 また、不正薬物、犯罪、テロの問題に包括的に取り組んでいる国連薬物犯罪事務所(UNODC)に対して、2006年度にはその国連薬物統制計画基金に約216万ドルを、また、犯罪防止刑事司法基金に約7万3,000ドルをそれぞれ拠出し、その活動を支援した。 一方、情報技術の急速な発展・普及に伴って深刻化したサイバー犯罪に対する国際協力のためのサイバー犯罪条約についても2004年4月、この条約を締結することにつき国会の承認を得ており、締結に向けて国内法整備が進められている。 FATFは、資金洗浄(マネー・ロンダリング)及びテロ資金供与に関する国際的な対策と協力の推進を目的として、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に構成される国際的な枠組みである。FATFは6月及び10月にナイジェリアとミャンマーについて、非協力的な国・地域としての指定を解除した。日本は、非協力的な国・地域に関する取組のためのアジア太平洋地域の検討グループの議長を務めるなど、FATFの中心的なメンバーとして貢献している。 国際組織犯罪対策はG8の枠組みでも重視されており、その対策と協力に向けて、刑事法制から捜査手法に至るまで、実務的観点から専門家レベルで討議を重ね、議論の成果は6月のG8司法内務閣僚会合において報告された。 |
|