第3章 分野別に見た外交 |
(2)日本のテロ対策の取組
(イ)テロ対策特別措置法 (注7) 米国、英国及びフランスをはじめとする諸外国は、インド洋上におけるテロリストの移動や武器弾薬などの関連物資の海上移動を阻止または抑止することを目的として、「不朽の自由作戦」に基づく海上阻止活動(OEF‐MIO:Operation Enduring Freedom‐Maritime Interdiction Operation)を実施している。日本は、テロ対策特別措置法に基づく協力支援活動として、2001年12月から、海上阻止活動に従事する米英などの艦船に対し、海上自衛隊による給油支援などを実施している。国際社会が、国際テロを根絶するため、「テロとの闘い」を続けている中、アル・カーイダの関与の疑いがあるテロが世界各地で引き起こされるなど、「テロ攻撃」による脅威は依然として存在している。このため、国際社会は「不朽の自由作戦」等において人類の共通の脅威であるテロへの対策に一致団結して取り組んでおり、7月のG8サンクトペテルブルク・サミットや、9月の安保理首脳会合の結果を踏まえ、日本としても、日本にふさわしい役割を果たしていくとの観点から、11月にテロ対策特別措置法を1年間延長した。
(ロ)テロ対処能力向上支援(キャパシティ・ビルディング)など 国際テロの防止・根絶には、幅広い分野で国際社会が一致団結し、息の長い取組を継続することが重要である。 日本は、安保理の下部委員会であるテロ対策委員会(CTC)の議論に積極的に貢献するなど、テロ対策に関する効果的な取組を先導する役割を果たしてきたほか、CTAGの多国間協力にも参画している。同時に、テロリストに対する制裁措置を定める安保理決議を誠実に履行し、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいて、ウサマ・ビン・ラーディンやオマルをはじめとするアル・カーイダ、タリバーン関係者などに対し、資産凍結措置を実施している。 国際的なテロ対策協力として、途上国などに対するテロ対処能力向上支援を重視しており、東南アジア地域を重点として、政府開発援助(ODA)も活用した支援を継続、強化している。2002年のAPEC首脳会議で小泉総理大臣が表明したテロへの対処に関する日本のテロ対処能力向上支援のフォローアップとして、具体的には、(1)出入国管理、(2)航空保安、(3)港湾・海上保安、(4)税関協力、(5)輸出管理、(6)法執行協力、(7)テロ資金対策、(8)CBRN(化学、生物、放射性物質、核)テロ対策 (注8) 、(9)テロ防止関連条約 (注9) -などの分野で技術協力や機材供与等の支援を実施している。核テロ対策については、日本は、核テロリズム防止条約(仮称)及び改正核物資防護条約の早期締結を検討しているほか、核物質等テロ行為防止特別基金に特別拠出を行い、また、アジア諸国の核セキュリティー強化に関するセミナーを11月に国際原子力機関(IAEA)と共催するなど、国際的な核セキュリティー強化活動を積極的に支援している。 また、2006年度、途上国によるテロ・海賊などの治安対策への支援を一層強化することを目的として、総額70億円のテロ対策等治安無償の枠組みを新設し、その第1号案件として、6月にインドネシアに対する「海賊・海上テロ及び兵器拡散の防止のための巡視船艇建造計画」の実施への無償資金協力を決定し、交換公文(E/N)に署名した。さらに、8月には、カンボジアに対する「主要国際港湾保安施設及び機材整備計画」のE/Nに署名した。ASEANとの間では、2005年12月の日・ASEAN首脳会議での合意を受け、ASEAN全体との間でテロ対策を正面からとりあげ、協力の方途について意見交換を行うことを目的として、2006年6月に東京で初の日・ASEANテロ対策対話 (注10) を開催した。また、10月には東京で日米豪テロ対策協議を開催したほか、12月にトルコで初の二国間テロ協議を行った。 |
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