第3章 分野別に見た外交


(3)在日米軍の駐留に関する諸問題

 日米安保体制の円滑で効果的な運用のためには、在日米軍の活動が施設・区域周辺の住民に与える負担を軽減し、米軍の駐留に関する住民の理解と支持を得ることが重要である。特に、在日米軍施設・区域が集中する沖縄県の県民の負担を軽減することが重要であることについては、日米首脳会談、外相会談など累次の機会に確認されている。

 政府は、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告 (注2) の着実な実施に取り組んできており、この中で12月には、楚辺通信所及び読谷補助飛行場が全面返還された。さらに、在日米軍の兵力態勢の再編を通じて、在日米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担軽減に取り組むこととしており、政府としては、普天間飛行場の早期移設・返還等により、引き続き沖縄をはじめとする地元の負担軽減に努めていく考えである。その一環として、10月には、米軍が進入管制業務を行っている横田空域について2008年9月までに返還する空域の範囲について合意した。

 日米地位協定の運用改善についても、国民の目に見える形で一つひとつ成果を上げていくことが重要であるとの考えから、具体的な取組を進めてきている。刑事裁判手続きについては、1995年の刑事裁判手続きに関する日米合同委員会合意により、凶悪犯罪を犯して拘禁された米軍人等の身柄を起訴前に日本側に移転する途を開き、最近では2006年1月に横須賀で発生した米軍人による日本人女性殺害事件において、被疑者の身柄が迅速に日本側に引き渡された (注3)




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