第3章 分野別に見た外交


(1)在日米軍の兵力態勢の再編等

 冷戦終結以降、米国をはじめ日本を含む西側諸国がかつて直面したソ連という脅威は消滅した一方で、国際テロ、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散など、抑止力が効かず、非対称でより予測が困難な新たな脅威が顕著化している。米国はこのような新たな安全保障環境における課題に対処するため、軍事技術の進展を活用し、より機動性の高い態勢を実現することを目標に、米軍の全世界的な軍事態勢の見直しを行っており、日本を含めた同盟国、友好国等と緊密に協議してきている。

 麻生外務大臣が出席した5月の日米安全保障協議委員会(以下、「2+2」会合)(図表「安全保障に関する日米間の協議の場」参照) (注1) で、日米両国は、現下の安全保障環境における日米同盟の意義を改めて確認した上で、2005年10月の「2+2」会合以降の調整を経て作成された兵力態勢再編の具体的施策を実施するための計画(「再編実施のための日米のロードマップ」)に合意した。この再編案の実施は、同盟関係における協力が新たな段階に入ったことを示し、地域における日米の同盟関係の能力向上につながるものである。

 今後とも、日米間の安全保障協力の実効性を向上させるため継続的な取組を進めるとともに、日米安保体制に対する国民の信頼と支持を固めるという長期的な観点からも、米軍施設・区域が所在する地元の負担について可能な限り軽減を図っていくことが重要である(図表「在日米軍兵力態勢の再編」参照)

 また、2008年夏に予定されている空母キティホークから原子力空母ジョージ・ワシントンへの交替は、地域の不安定要素に対する米軍による抑止力の維持に寄与するものである。日本政府として、地元住民の理解を得つつ、空母交替を円滑に実現する観点から、引き続き安全と安心の確保のために米側及び地元と緊密に協力してきている。

▼安全保障に関する日米間の協議の場(2006年12月現在)



▲「2+2」会合後、共同記者会見で握手する麻生外務大臣、額賀福志郎防衛庁長官(右)、ライス米国国務長官(左から2番目)、ラムズフェルド米国国防長官(左)(5月1日、米国・ワシントン)

▼在日米軍兵力態勢の再編




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