第2章 地域別に見た外交 |
(ロ)対外関係 (i)総論 中国は経済発展のための安定した国際環境確保のため、引き続き全方位外交を展開している。米国、ロシア、欧州等の主要国、ASEAN、朝鮮半島等の近隣諸国、さらにアフリカ、中近東、中南米に至るまで、積極的な外交を推進している。このような姿勢は、中国・アラブ諸国協力フォーラム閣僚会議(6月、於:北京)、上海協力機構(SCO)首脳会議(6月、於:上海)、中国・ASEAN特別首脳会議(10月、於:南寧)、中国・アフリカ協力フォーラム北京サミット(11月、於:北京)等の開催に見られる (注50) 。8月には北京で中央外事工作会議を開催、中国の国内建設のため、平和な国際環境と良好な周辺環境が必要であるとの認識を改めて強調した。 (ii)米中関係 2001年9月の米国同時多発テロ以降、協力関係を進めている米中両国は、首脳の相互訪問を軸に「建設的協力関係」を促進しており、北朝鮮、台湾、貿易、通貨等に関する幅広い問題について意見交換を行っている。4月に胡錦濤国家主席が訪米、ブッシュ大統領との間で首脳会談を行った。また、11月には第3回米中シニア対話が開催され、12月にはポールソン財務長官が大統領特使として訪中し、第1回米中戦略経済対話を行った。さらに、ライス国務長官は10月の北朝鮮核実験後に、北京を訪問し、北朝鮮への対応について米中間で協議を行った。なお、米中首脳間、ライス国務長官と李肇星外交部長間で北朝鮮問題等主要問題についての電話会談もしばしば行われている。他方、軍事交流も活発に行われており、5月にはファロン太平洋軍司令官が訪中、7月には中国制服組トップの郭伯雄中央軍事委員会副主席が訪米したほか、9月及び11月に米中海上共同捜索救難訓練が実施された。 (iii)軍事・安保情勢 中国は、海空戦力・戦略ミサイルを中心に軍事力の近代化を進めるとともに、他国との軍事交流を盛んに行っている。18年間連続して10%以上の伸び(2006年度公表値)を示す国防費の内訳や軍事力近代化に不透明な部分があることが注目されており、日本は日中安保対話等、累次の機会を通じ、より一層の透明性向上を中国に対して求めている。 2007年1月、米国政府から日本に対し、中国による弾道ミサイルの発射及び衛星の撃墜について通報がなされた。日本は、宇宙の安全利用及び安全保障上の観点からの懸念を中国側に申し入れるとともに、事実関係及び中国側の意図についての説明を求めたが、中国側からは宇宙において1回の実験を行ったとして、中国の宇宙の平和的利用に関する立場等についての説明がなされた。中国側の説明は日本の懸念を払しょくするものではなく、今後も機会をとらえて本件を提起していく考えである。 |
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