第2章 地域別に見た外交 第1節 

(注1)7月5日(現地時間)、国連安保理においても安保理決議第1695号が全会一致で採択され、北朝鮮の行為を非難する国際社会の強いメッセージが出された。

(注2)10月16日(現地時間)、国連安保理においても、北朝鮮にとって厳しい内容を含む安保理決議第1718号が全会一致で採択された。

(注3)この決議の主な内容は以下のとおりである。(1)北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難。(2)北朝鮮に対し、(a)弾道ミサイル計画の関連活動の停止、(b)ミサイル発射モラトリアムに係る既存の約束の再確認を要求し、(c)六者会合への即時無条件復帰、2005年9月19日の共同声明の迅速な実施に向けた作業、特にすべての核兵器及び既存の核計画の放棄並びにNPT及びIAEA保障措置の早期復帰を強く要請。(3)すべての加盟国に対し、国内法に従い、国際法に適合する範囲内で、(a)北朝鮮のミサイル・大量破壊兵器(WMD)開発計画関連のモノ・技術の移転の防止、(b)北朝鮮からのミサイル・WMD開発関連のモノ・技術の調達の防止、(c)北朝鮮のミサイル・WMD開発計画に関連する資金の移転の防止を要求。

(注4)参加国は、日本、米国、中国、ロシア、韓国、マレーシア(ASEAN議長国)、インドネシア、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア。

(注5)参加国は、日本、米国、韓国、フィリピン(ASEAN議長国)、インドネシア、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア。

(注6)この決議の主な内容は以下のとおり。(1)北朝鮮により宣言された核実験を非難し、主に以下の事項の実施を北朝鮮に要求。(a)更なる核実験及び弾道ミサイル発射の中止。(b)NPT脱退宣言の即時撤回、NPT及びIAEA保障措置への復帰。(c)すべての弾道ミサイル計画の関連活動の停止及びミサイル発射モラトリアムの再確認。(d)完全、検証可能かつ不可逆的な方法によるすべての核兵器及び既存の核計画並びに他の既存のWMD及び弾道ミサイル計画の放棄。(e)軍関連、核・ミサイル・WMD計画関連の特定品目等の輸出停止。(2)すべての加盟国がとるべき措置として以下の事項を決定。(a)軍関連、核・ミサイル・WMD計画関連の特定品目、奢侈品の北朝鮮に対する供給等を防止。(b)北朝鮮の核・弾道ミサイル及びその他WMD関連の計画に関与する個人・団体の資産を凍結。(c)北朝鮮の核・弾道ミサイル及びその他WMD関連の政策に責任を有する個人及び家族の入国・通過禁止。(d)上記措置の遵守を確保するため、必要に応じ、自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で、貨物検査を含む協力行動をとることを要請。(3)上記項目を効果的に実行するために講じた措置について、本決議採択から30日以内に安保理に報告するよう要請。なお、この決議では、日本の働きかけにより、前文において拉致問題を念頭に「人道上の懸念」に北朝鮮が対応することの重要性を強調している。

(注7)奢侈品の指定は各国の判断にゆだねられており、日本は以下の24品目を奢侈品として指定。(1)牛肉、(2)まぐろのフィレ、(3)キャビア・その代用品、(4)酒類、(5)たばこ、(6)香水、(7)化粧品、(8)革製バッグ・衣類等、(9)毛皮製品、(10)じゅうたん、(11)クリスタルグラス、(12)宝石、(13)貴金属、(14)貴金属細工、(15)携帯型情報機器、(16)映像オーディオ機器・ソフト、(17)乗用車、(18)オートバイ、(19)モーターボート・ヨット等、(20)カメラ・映画用機器、(21)腕時計等、(22)楽器、(23)万年筆、(24)美術品・収集品・骨董品。

(注8)略

(注9)正式名称は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」。「北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害問題の実態の解明、及びその抑止を図る」ことを目的に、国の責務、地方公共団体の責務、北朝鮮人権侵害問題啓発週間を設けること、政府による拉致問題等に関する年次報告の提出、国際的な連携の強化、北朝鮮当局による人権侵害状況が改善されない場合の措置などを定める。

(注10)この「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」にあわせて、ムンタボーン国連・北朝鮮の人権状況特別報告者が訪日し、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況につき、調査を行った。

(注11)なお、韓国政府も独自に同様の検査を実施し、同年5月に同様の結果を得ている。

(注12)これにより、日本政府が認定した北朝鮮による拉致事案は、12件17名となった。

(注13)2月23日、福井県におけるアベック拉致容疑事案の実行犯として特定。

(注14)2月23日、新潟県におけるアベック拉致容疑事案の実行犯として特定。

(注15)11月2日、新潟県・母娘拉致容疑事案の実行犯として特定。

(注16)同サミットにおいては、拉致問題は日本のみならず国際的な広がりを持つ問題であり、その解決には国際的な連携の強化が必要であるとの日本の訴えに対しすべての参加国の理解が得られた。

(注17)この「人道上の懸念」に拉致問題が含まれることは明白であり、当時安保理議長を務めていた日本の大島国連大使もその旨明らかにしている。

(注18)韓国は、コメ10万トンをはじめとする、総額約2,310億ウォン(約277億円)分の緊急人道支援実施を8月に発表した。

(注19)南北双方による、「開城(ケソン)工業団地」、「京義(キョンウィ)線及び東海(トンへ)線の鉄道・道路連結」、「金剛山観光事業」の三大協力事業においても、様々な動きが見られた。「京義線及び東海線の鉄道・道路連結」については、5月、予定されていた列車試験運行を北朝鮮側が突然中止を通告し、韓国側で大きな波紋を呼んだ。また、「開城工業団地」、「金剛山観光事業」についても、10月の北朝鮮による核実験を踏まえ、韓国が各事業に一部制限を加える等の措置を講じた。なお韓国政府は、11月6日の韓明淑(ハン・ミョンスク)国務総理による国会での施策演説で、「開城工業団地」、「金剛山観光事業」を今後も継続していく旨明らかにしている。

(注20)これは、北朝鮮の核問題を解決し、朝鮮半島の平和と安全を確保した上で、南北間の和解と交流を進め、朝鮮半島の繁栄を目指すものであり、そのための原則として、(1)対話を通じた懸案解決、(2)相互信頼、互恵主義、(3)南北当事者原則に基づく円滑な国際協力、(4)国民参加拡大-を掲げている。こうした「平和・繁栄政策」は、基本的に「確固たる安全保障体制を敷きつつ、南北間の和解・交流を積極的に進める」という金大中(キム・デジュン)前政権の「包容政策」を受け継いだものといえる。

(注21)2002年7月には、価格体系や配給制度の変更を含む「経済管理改善措置」を実施し、一定範囲で利潤の追求を認めている。また、2003年には公の管理の下に、総合市場を全土に300か所余り設置したとされ、個人や企業が農産品や消費財を販売している。

(注22)これは、2000年の約2倍に当たる。

(注23)対前年比14.1%増。なお、中国から北朝鮮への主要輸出品目は、原油、豚肉、トウモロコシなどであるのに対し、北朝鮮から中国への輸出品目上位は、無煙炭、鉄鉱石、水産物などである。

(注24)11月に行われたAPEC首脳会議の際にも、日韓首脳会談が行われ、未来志向の日韓関係構築に向けて互いに努力していくこと等で両首脳が一致した。

(注25)「日韓交流おまつり2006」には、日韓合わせて48団体、約1,600人が出演し、約5万人の観衆から盛大な拍手と声援を受けた。

(注26)国交正常化当時には年間約1万人であった両国間の人の往来は、現在では一日1万人を超え、2006年には約446万人(国際観光振興機構(JNTO)推計値)の往来があった。

(注27)日韓歴史共同研究は、2001年10月に行われた日韓首脳会談において、歴史教科書問題に関連し、正確な歴史事実と歴史認識に関する相互理解の促進が重要であるとして、立ち上げに合意された。日韓の歴史学者で構成される日韓関係史に関する共同研究委員会とともに、官民で構成される合同支援委員会を設置し、2002年5月に第1回全体会合を開催した。共同研究は2005年3月まで約3年間にわたって行われ、6月に最終報告書を公表した。また、2005年6月の日韓首脳会談において、第2期共同研究の立ち上げ、及び同枠組みの下に「教科書小グループ」を設立することにつき合意がなされた。

(注28)遺骨問題に関しては、2006年に入ってから、2回の政府間協議と1回の実務者協議が行われ、これらの協議を通じ、目に見える具体的な成果が上がりつつある。まず、旧民間徴用者等の遺骨の実地調査に関しては、8月の福岡県・田川市における日韓共同調査をはじめとして、これまで41回にわたり調査が行われている。また、韓国側の希望を踏まえ、8月下旬、サイパン及びテニアンにおける遺骨調査事業への韓国側のオブザーバー参加が実現した。さらに、12月、戦後初めて、韓国人遺族による海外追悼巡礼が、日韓両政府の支援の下、サイパン、フィリピン及びパラオにおいて行われた。

(注29)第2次世界大戦時に広島もしくは長崎に在住して原爆に被爆した後、日本国外で居住している方々に対する援護の問題。これまで国外に居住している被爆者は、被爆者援護法に基づく手当の認定申請や葬祭料の支給申請を来日して行う必要があったが、2005年11月30日から、申請を行う被爆者の居住地を管轄する在外公館その他最寄りの在外公館等を経由して申請を行うことが可能になった。

(注30)終戦前に日本が設置した日本国外のハンセン病療養所入所者が、「ハンセン病療養所等に対する補償金の支給等に関する法律」に基づく補償金の支払を求めていたが、2月に法律が改正され、新たに国外療養所の元入所者も補償金の支給対象となった。

(注31)終戦前、様々な経緯で旧南樺太(サハリン)に渡り、終戦後、ソ連による事実上の支配の下、韓国への引揚げの機会が与えられないまま、長い期間にわたり、サハリンへの残留を余儀なくされた朝鮮半島出身者の一時帰国事業、永住帰国支援を行ってきている。2005年には永住帰国施設として安山(アンサン)療養院を建設し、2006年には、サハリン残留者が文化の伝承や世代間交流を図る場としてサハリン韓国文化センターを建設した。

(注32)3月、李海チャン(イ・ヘチャン)国務総理は「3.1独立式典」に参加せずゴルフをしていたという事実が明らかになったため辞任し、その後任に、女性部・環境部で長官を務めたことのあるウリ党の韓明淑議員が韓国初の女性国務総理として任命されたが、盧武鉉大統領への支持率はその後も下落を続け、12月には約10%と過去最低の支持率を記録した。

(注33)日本の総理大臣による中国訪問としては2001年の小泉総理大臣以来5年ぶり、公式訪問としては、1999年の小渕総理大臣以来7年ぶりとなるものであった。

(注34)財務省発表速報値。同データによれば、2006年の対香港貿易を除いた日中貿易総額は2,113億ドル、日米貿易総額は2,137億ドル。

(注35)中国商務部統計。対中直接投資額(実行ベース)で、第1位の香港(202億ドル)に、英領バージン諸島(112億ドル)、日本、韓国(39億ドル)、米国(29億ドル)が続く。

(注36)2002年4月、第1回ボアオ・アジア・フォーラムの際に行われた小泉総理大臣と朱鎔基(しゅ・ようき)総理との会談で設立に合意した。貿易・投資を中心とする日中経済関係の在り方につき、総合的な見地から議論を行い、両国間の経済分野における問題点を早期に発見し紛争の未然防止を図るとともに、両国経済の相互補完関係を一層強化していくことを目的としている。2006年12月に第5回協議を開催した。

(注37)中国のWTO加盟に当たっては、加盟約束及びWTO協定遵守状況を点検するため既存のWTO機関の下で経過的審査メカニズム(TRM)が設けられた。加盟後毎年、8年間にわたって行われる。

(注38)第2次世界大戦終了時までに中国国内で遺棄された旧日本軍の化学兵器の処理問題。1990年、中国政府から本件の解決要請があった。1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づき、日本は同兵器廃棄のために、すべての必要な資金、技術、専門家、施設その他の資源を提供し、中国はこれに対し適切な協力を行うことになった。日中両国は、1999年に署名された「中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書」の枠組みの下、同兵器廃棄のため、現地調査や発掘・回収作業を共同で実施するとともに、専門的・技術的な諸事項について、両国の政府関係者や専門家が協議を重ねてきている。

(注39)遺棄化学兵器は、北は黒龍江(こくりゅうこう)省から南は広東省まで広い範囲で存在が確認されているが、ほとんどは吉林省敦化(とんか)市ハルバ嶺地区に埋設されており、その砲弾埋設数は30万~40万発と推定されている。また、現地調査や発掘・回収作業により、これまでに約3万8,000発の遺棄化学兵器が発掘・回収されている。

(注40)2003年8月に黒龍江省チチハル市において、2004年7月に吉林省敦化市、2005年6月に広東省広州市において遺棄化学兵器による毒ガス事故が発生し、死者1名を含む被害者が発生している。

(注41)中国国家統計局発表速報値。

(注42)農民問題(農村と都市の収入格差や開発に伴う失地農民の問題等)、農村問題(農村荒廃、戸籍制度の問題)、農業問題(零細で非効率的な農業等による食糧生産の減少の問題)を指す。

(注43)日本の国会にほぼ相当する中国の最高権力機関。現在の任期は5年、年1回3月ごろに全体会議が開催され、前年の政府活動報告やその年の活動計画等が審議・採択される。今次会議は第10期(2003年3月~)の第4回会議。

(注44)5年に1回開催される党大会で選出される中央委員によって構成され、党大会の閉会中の活動を指導、代行する。中央委員会の全体会議は、おおむね年1回秋ごろに開催され、主として、党の方針・政策が決定される。今次会議は第10期(2002年11月~)の第6回全体会議。

(注45)「人を根本とする」との考え方。胡錦濤指導部が2003年以来強調している。

(注46)社会全体のバランスのとれた持続可能な発展を目指す考え方。

(注47)「調和のとれた社会」を建設するかぎは共産党にあるとし、共産党の指導力を発揮するとともに、党内の民主化、党務の公開、党規律の厳格化等を推進し、腐敗の防止メカニズムを整備し、党幹部への監督の強化を提唱。

(注48)インターネット・ドメインの登録審査制度や検索サービスの制限、外国通信社の中国国内における報道情報発表に関する管理規則の制定等。他方、2008年の北京オリンピックまでの暫定措置として、外国記者の取材制限を緩和する動きもある。

(注49)5年に1回開催される中国共産党の全国代表大会。党大会後に開催される中央委員会の第1回全体会議(一中全会)で党中央政治局常務委員(新指導部)が選出される。

(注50)このほかにも、李肇星外交部長が中国外交部長として恒例となる1月のアフリカ訪問を実施、4月には温家宝総理がオーストラリア、カンボジア等を訪問、胡錦濤国家主席は4月訪米の後、サウジアラビア、モロッコ、ケニアを訪問、6月には温家宝総理がエジプト他アフリカ7か国を訪問、7月には胡錦濤国家主席がロシアでのG8先進国首脳会議にあわせロシアを訪問、9月には温家宝総理がフィンランドでのASEM首脳会合に参加、11月には胡錦濤国家主席がラオス、ベトナム、インド、パキスタンを訪問し、ハノイで開催されたAPEC首脳会議に参加した。また、3月にはロシアのプーチン大統領が、10月には韓国の盧武鉉大統領が訪中した。

(注51)国家統一委員会は、1990年に対中国政策の方針策定のため設けられた総統直属の諮問機関。国家統一綱領は、国家統一委員会が制定した対中国政策の最高指導綱領。

(注52)1970年代後半に自国民を強制労働と虐殺により大量死させた民主カンボジア(クメール・ルージュ)政権の上級幹部を裁くため、国連の協力によりカンボジア国内裁判所において実施される特別裁判。

(注53)2005年4月28日に採択された国連安保理決議第1599号に基づき、国連東ティモール支援団(UNMISET)の後継ミッションとして同年5月20日に設立された。元UNMISET代表の長谷川祐弘氏が代表を務めた。

(注54)2006年8月25日に採択された国連安保理決議第1704号に基づき、UNOTILの後継ミッション(PKO)として同日に設立された。

(注55)今後の課題として、政治の安定、社会の安定、治安の回復、オーナーシップの定着を挙げている。

(注56)ブラジル、ロシア、インド、中国の4か国。

(注57)BRICsに続く投資先として、経済成長が期待されるバングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、韓国、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナムの11か国を指す。米ゴールドマン・サックス社が命名した。

(注58)2004年1月、2年半ぶりに実現したインド・パキスタン首脳会談において、両国間の関係改善に向けて、カシミール問題や核の信頼醸成措置、通商等の8分野を各関係省庁の次官レベルで協議する一連の「複合的対話」の開始が合意された。2007年3月中旬に第4ラウンドが開始される予定。

(注59)パキスタン会計年度(2005年7月1日~2006年6月30日)を対象。

(注60)この協定は社会保険料の二重払い等の問題の解決を目的とするもので、日本企業等の負担軽減が期待される。

(注61)今後5年間、EAS参加国を中心に、毎年6,000人の青少年を日本に招聘する計画。

(注62)先進エコノミーは2010年までに、途上エコノミーは2020年までに、自由で開かれた貿易及び投資を達成するという目標。1994年のインドネシア(ボゴール宮殿)での首脳会議にて採択。