第2章 地域別に見た外交 |
【中国情勢】 (イ)内政(経済を含む) 2006年の中国のGDP(名目額)は20兆9,407億元、実質成長率は10.7%となり (注41) 、引き続き高い経済成長を実現した。他方で、格差拡大、投資過熱、エネルギー不足、環境汚染、三農問題 (注42) 、金融・財政問題、就業・社会保障問題等といった課題も顕在化している。土地収用や給料を巡るトラブル、公務員の不正に対する不満等を理由とする集団抗議が各地で発生した。 胡錦濤指導部は、これらの課題に対応するため、3月の全国人民代表大会 (注43) の全体会議において採択された今後5年間(2006年~2010年)の五か年計画(規画)において、(1)GDP成長率平均7.5%、(2)GDP単位当たりエネルギー消費量20%削減、主要汚染物の排出総量の10%減少等を主要目標として掲げるとともに、農村の振興、医療や教育といった民衆の利益を重視する政策を打ち出し、バランスのとれた発展の重要性を強調した。10月の中国共産党中央委員会 (注44) の全体会議(六中全会)では、「調和のとれた社会」の建設に関する「決定」を採択し、2020年までの目標として、民主法制の整備、格差拡大の是正、思想道徳や科学文化の向上といった事項を列挙するとともに、「親民路線」 (注45) や「科学的発展観」 (注46) といった胡錦濤指導部の特色ある施政方針を強調した (注47) 。 さらに、公務員法や監督法等関連法規の整備、モラル向上等を目指した党員教育の推進、汚職幹部の取締り強化を通じた行政サービスの改善に取り組む一方、インターネットや報道に対する管理を強化した (注48) 。2007年秋の党大会 (注49) を控え、各地方の幹部について大幅な人事異動が進められており、地方における胡錦濤指導部の政策の実効性といった観点から注目される。 |
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