第2章 地域別に見た外交


(ホ)個別の分野における懸案

(i)東シナ海資源開発問題

 日中間の懸案となっている東シナ海の資源開発問題について、2006年は、東シナ海等に関する日中協議を4回(1月:非公式協議、3月:第4回、5月:第5回、7月:第6回)行い、開発作業の中止と情報提供を求めるとともに、日本国内の厳しい雰囲気を説明しつつ、迅速な解決を図るべく、各々の法的立場、経済的利害、政治的困難について様々な角度から突っ込んだ意見交換を行ってきている。安倍総理大臣訪中時には東シナ海を平和・協力・友好の海とするとの共通認識が確認されたが、これを早期に実現するため、その後の首脳会談、外相会談において、協議のプロセスを加速するとともに、首脳レベルでも本件を注視し、共同開発の方向で双方が受入れ可能な解決の方法を模索することを確認した。

(ii)遺棄化学兵器問題 (注38)

 中国における旧日本軍の遺棄化学兵器問題に関しては、吉林省ハルバ嶺地区 (注39) に発掘・回収施設と廃棄施設を建設するため、現在準備作業が進められている。化学兵器禁止条約上の廃棄期限である2007年を翌年に控えた2006年7月、日中両国による期限の5年延長の申請が化学兵器禁止機関(OPCW)に認められ、新たな期限が2012年となった。また、12月には、第10回日中共同作業グループ会合が行われ、ハルバ嶺事業の事業主体となる「日中遺棄化学兵器処理連合機構」を設立することで実質的な合意に達した。今後遺棄化学兵器による毒ガス事故 (注40) を再発させないよう、できるだけ早く処理するため日中共同で対処していく考えである。




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