第2章 地域別に見た外交


(ニ)経済関係の深化

(i)日中経済関係の発展

 日中間の貿易・投資等の経済関係はとりわけ中国の世界貿易機関(WTO)加盟後を契機に大きく発展している。2006年の日中貿易総額は、対香港の貿易総額も含めると2,493億ドルとなり、3年連続で日米貿易総額を上回った (注34) 。また、中国側統計によれば、2006年の日本からの対中直接投資額は46億ドルで、4年ぶりに前年を下回ったものの、引き続き、香港、バージン諸島に次ぐ第3位の規模となっている (注35)

 相互補完関係が一層深化する日中経済関係の中では、発生し得る種々の問題や経済摩擦を未然に防ぐことが重要である。政府としては、日中経済パートナーシップ協議(外務審議官級) (注36) 等の二国間協議の場で、知的財産権問題をはじめとする貿易、投資に係る様々な問題を協議するとともに、WTO・対中TRM (注37) でも、中国によるWTO加盟約束の履行状況等について問題提起を行っている。

▼日中経済関係(注)

(ii)対中国経済協力

 近年、中国は沿海部を中心に著しい経済発展を遂げていること等を背景に、日本の対中政府開発援助(ODA)も大幅な減少傾向にある。このうち、対中ODAの大部分を占める円借款については、2008年の北京オリンピック前までにその新規供与を円満終了することについて、日中間で共通認識に達している。

 無償資金協力については、日本にも直接影響を及ぼし得る問題である中国の環境汚染や感染症等の問題、日中両国民間の相互理解の増進に資する分野、技術協力については、これらに加え、市場経済化や国際ルールの遵守、良い統治の促進、省エネに資する案件等を中心に実施している。

 このように、政府としては、日中両国が利益を共有する分野での協力を深めていくことが、日中関係にとっても重要と考えており、対中ODAについては、今後とも、日本の国益を踏まえつつ、個々の案件を精査しながら日中関係全体の中で実施していく考えである。

▼日本の対中ODA実績




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