第3章 分野別に見た外交


(1)人権に関する国連の政府間フォーラムの動き

 3月から4月にかけて開催された国連人権委員会第61会期では、約110本の決議・決定等のうち約6割が無投票のまま採択された一方、約4割は投票に付されるなど、依然として政治色・対立色が目立った。同会期では、小野寺外務大臣政務官が北朝鮮による日本人拉致問題の早急な解決を求める発言を行い、2004年に引き続き、拉致問題の早期解決を含む「北朝鮮の人権状況」決議 (注20) が採択された。日本はこの決議の共同提案国となった。また、日本が例年どおり提出した「カンボジアの人権状況」決議案 (注21) は、多数の共同提案国を得て、無投票で採択された。

 10月から11月にかけて、ニューヨークにおいて開催された第60回国連総会第三委員会においても、投票に付される決議案が全体の約3分の1に及ぶ中、日本は、意見の対立する地域・諸国の間で橋渡しの役割を果たすとともに、自らの立場を積極的に主張した。とりわけ、拉致問題への言及も含む「北朝鮮の人権状況」決議 (注22) が国連総会では初めてEUによって提出され、日本は共同提案国として採択に向けた働きかけを積極的に行った。その結果、11月に同決議は総会第三委員会で採択され、12月には総会本会議でも初めて採択された。




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