第3章 分野別に見た外交 第3節
(注1)2005年にはこのほか、OECD閣僚理事会閣僚宣言(5月)、アジア太平 洋経済社会委員会(ESCAP)総会決議「上海宣言のフォローアップとしての人間の安全保障の経済・社会側面の促進を通じた弱者の保護のための地域協力」 (5月)、APEC閣僚共同宣言及び首脳宣言(11月)等にも、「人間の安全保障」の文言が盛り込まれている。
(注2)なお日本は、2000年のG8九州・沖縄サミットにおいて「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」を発表し、2004年までの4年間で感染症対策に約41億ドル支援した。
(注3)乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延(まんえん)の阻止。
(注5)開発途上国における排出削減事業または植林事業において生じた排出削減量または吸収量を、当該事業に貢献した先進国等の事業参加者が「認証された排出削減量」として獲得できる仕組み。京都議定書第12条に規定されている。
(注6)米国は京都議定書を批准していない。また、開発途上国は、京都議定書上の温室効果ガス削減義務を負っていない。
(注7)熱帯林保有国の環境保全と熱帯木材貿易の促進を両立させ、開発途上国の経済的発展に寄与する目的で1986年に設立された。本部は横浜市。
(注8)アジアの持続可能な森林経営の促進を目的として、アジア諸国(主に ASEAN)、援助国・国際機関及びNGOなどが違法伐採対策、森林火災予防、荒廃地の復旧(植林)等の活動を通じて協力していくためのパートナーシッ プ。2002年8月の国連ヨハネスブルグ・サミットで正式に発足し、これまでに5回の実施促進会合を実施している。
(注9)廃棄物の発生抑制(Reduce)、再利用(Reuse)、再生利用(Recycle)の推進を通じて、資源と物資のより効率的な使用を奨励し、循環型社会の構築を国際的に推進するもの(図表「循環型社会における3Rの考え方」参照)。
(注10)同会議では、2005年1月6日に小泉総理大臣がASEAN主催緊急首脳会議(ジャカルタ)で発表した提案に基づき、インド洋災害に関する特別セッションが設けられた。また「兵庫行動枠組」は2005年9月の国連首脳会合の「成果文書」においても言及されている。
(注11)オゾン層保護や有害廃棄物等の環境分野を対象に、国際協力活動を行っている。本部はケニアのナイロビ。
(注12)UNEPの内部機関として、研修やセミナー、環境問題に対するコンサルティング・サービス、環境面で優れた実績を持つ日本の地方自治体の経験と知識を開発途上地域に広める活動等を行っている。事務所は大阪市と滋賀県草津市。
(注13)南極地域とは南極条約(1959年作成、1961年発効)によって定めら れる「南緯60度以南の地域」を指す。2005年時点での条約締約国数は45。日本は、同条約の原署名国であり、1960年に同条約を締結。協議国とし て、南極地域における平和の維持、科学的調査の自由の保障とそのための国際協力、軍事利用の禁止、領土権主張の凍結、環境保全と生物資源の保護等の面で、 積極的役割を果たしてきている。
(注14)「環境保護に関する南極条約議定書」は南極の環境と生態系を包括的に保護することを目的とし、1991年10月に作成され、1998年1月に発効。同議定書本体においては、鉱物資源活動の禁止、査察のための措置、紛争解決手段等が規定され、付録において仲裁手続き、附属書Iにおいて環境影響評価の詳細、附属書IIにおいて南極の動物相及び植物相の保存、附属書IIIにおいて廃棄物の処分及び廃棄物の管理、附属書VIにおいて海洋汚染の防止、附属書Vにおいて南極特別保護地区等について規定している。
(注15)2004年4月に内閣に設置された人身取引に関する関係省庁連絡会議において策定されたもの。出入国管理強化を含む人身取引の防止、刑法改正及び取締り強化による人身取引加害者の処罰、シェルターにおける保護等の被害者保護を中心に、包括的な施策が盛り込まれている。
(注16)国際組織犯罪対策に取り組むために1995年のG7ハリファクス・サミッ トにおいて設置が決定された上級専門家会合の通称で、その名は翌1996年のリヨン・サミットで最初の報告が行われたことに由来する。グローバリゼーショ ンの進展とともに、その影の部分として、銃器の密輸、人の密輸、ハイテク犯罪等の国際組織犯罪が増加しており、リヨン・グループでは、これらの問題に立ち 向かうため、技術的・法的な諸問題の解決に向け、精力的に討議を重ねてきている。
(注17)主要先進国で薬物関連援助政策等について相互理解を深め、政策の調整を図 ることを目的として、1990年6月、ダブリンにおいて発足した。日本、米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、EU25か国及びUNODCが参加 し、ブリュッセルで年2回の全体会合を開いている。また、薬物生産国におけるダブリン・グループ参加国の大使館で同様の協議を行うことが提唱され、ミニ・ ダブリン・グループ会合と称するアドホック(特別の)会合が、約70か国の主要な薬物生産国において開催されている。
(注18)東南アジア国境地帯の重点地区に国境リエゾン・オフィス(BLO)を設置し、BLOの法執行担当者に対し近代的な捜査手法等の訓練を施すとともに、BLO間の協力体制を構築して、国境地帯の不正薬物取引の取締りを強化する。
(注19)東南アジア地域において拡大するATS問題に対応するため、ATS乱用防止や統制に関するデータ収集システムを統一化し、関係国間における情報共有を容易にする。
(注20)国連人権委員会が、北朝鮮における広範かつ重大な人権侵害への懸念を表明 した上で、北朝鮮に対して、人権関連条約の締結・遵守、国連機関との協力・対話、外国人拉致問題に関するすべての未解決の問題について、被害者の即時返還 を含めた、明確・透明・緊急な解決を求めるとともに、北朝鮮の人権状況を調査・勧告する特別報告者の任期の一年延長を決定し、さらに北朝鮮の人権状況に改 善が見られない場合には、国連のほかの機関、特に総会がこの問題をとりあげるよう要請することなどを内容とするもの。ただし、北朝鮮への入国は実現してい ない。
(注21)国連人権委員会として、クメール・ルージュ裁判の特別法廷の設置合意や、 特別法廷を多数の国が支援することを歓迎しつつ、カンボジアに対して特別法廷の早期設置を求めつつ、同国内においていまだに人権侵害が継続していることを 憂慮し、今後も人権状況の改善に努力を続けることを求めるという内容。
(注22)北朝鮮における、強制的失踪(しっそう)の形態における外国人の拉致に関 する未解決の問題、拷問、政治的理由による死刑、表現の自由の制限、女性の人権の侵害等、組織的、広範かつ重大な人権侵害や、国連人権高等弁務官事務所へ の非協力等に深刻な懸念を表明し、国際人道機関による北朝鮮域内へのアクセスの確保、すべての人権と基本的自由の完全な尊重の確保、北朝鮮の人権状況特別 報告者への協力等、過去の人権委員会決議で掲げられた措置の完全な履行を要請することなどを内容とする。
(注23)経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)、市民的及 び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)、拷問及び他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約、女子に対するあらゆる 形態の差別の撤廃に関する条約、児童の権利に関する条約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約。
(注24)世界中で多数の児童が性産業に従事させられ、児童の売買、児童買春及び児 童ポルノによる被害を受けている事態を改善し、児童の権利を促進・保護するために2000年第54回国連総会で採択された議定書。児童の売買、児童買春及 び児童ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪人引渡し、国際協力等が定められている。
(注26)国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及び国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保護や支援の対象となっている難民・国内避難民等の数は2,348万人に達している(2005年統計)。