第3章 分野別に見た外交


(2)気候変動問題

 日本は従来、気候変動問題に重点的に取り組んでいる。京都議定書は2005年2月16日に発効し、地球温暖化防止に向けた国際社会の取組強化の第一歩が踏み出された。2005年11月28日から12月9日までカナダのモントリオールで開催された気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)及び京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)では、日本は、地球温暖化対策の実効性を確保するためすべての国が参加する枠組みの構築が必要であると、世界各国に結束を呼びかけ、将来の課題について米国や主要途上国を含むすべての条約締約国が参加する「長期的協力のための行動の対話」の開始が合意された。また、マラケシュ合意(COP7での合意内容)の採択により、議定書の運用ルールが確立され、さらにCDM(クリーン開発メカニズム) (注5) の更なる推進・改善に向けた具体的方策について合意された。

 2005年は、気候変動枠組条約、京都議定書のほかにも地球温暖化問題について様々な国際的な対話が行われた。7月のG8グレンイーグルズ・サミットでは、省エネ、クリーン・エネルギーの活用等の具体的行動を含む「グレンイーグルズ行動計画」に合意したほか、主要エネルギー需要国との対話の設置等にも合意し、2008年に日本で開催予定のG8サミットで対話の結果を報告することとされた。新興経済諸国との対話では、これら諸国が気候変動問題等において一層の責任を果たすよう求めた。この結果を踏まえて10月31日から11月1日、気候変動問題解決の鍵を握る主要19か国のエネルギー・環境担当大臣がロンドンに集まり、「気候変動、クリーン・エネルギー及び持続可能な開発に関する対話」が開催され、低炭素社会の実現に向けて国際協力を更に進めていくための具体的な方策について議論した。

 また、7月には、日本、米国、オーストラリア、中国、インド、韓国の6か国参加の下に、「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」が発足した。同パートナーシップは京都議定書を補完するもので、クリーンで効率的な技術の開発・普及を通じた環境汚染、エネルギー安全保障、気候変動問題への対処を目的としている。10月20日から21日には、日本とブラジルの共同議長の下、第4回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合を東京で開催し、今後の排出削減に向けた具体的な行動について率直な意見交換と働きかけを行った。

 日本は、すべての国がその能力に応じ、排出削減に取り組むことを可能とし、主要排出国による削減努力を促す実効ある国際枠組みを構築することが重要である (注6) との立場から、今後も、米国・開発途上国等の参加及び一層の温室効果ガス排出削減の努力を求めていく。

 

▼気候変動枠組条約/京都議定書を巡る国際交渉の主な動き




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