第3章 分野別に見た外交 |
2.感染症対策 (1)三大感染症対策 HIV/エイズ、結核、マラリア(左記3つをまとめて「三大感染症」)、ポリオ、寄生虫症等の感染症は、開発途上国にとって単に住民の生命を脅かす保健・医療上の問題にとどまらず、経済・社会活動に影響を与え、開発の阻害要因となっている。感染症はグローバル化の進展により容易に国境を越えて他国に広がるため、人類共通の脅威である。 日本は2005年6月に、感染症対策を含む保健関連のMDGs達成に貢献するため、「保健と開発に関するイニシアティブ(HDI)」を発表し、5年間で50億ドルをめどに支援することを表明した (注2) 。HDIでは、3つの保健関連MDGs (注3) への直接的な対策だけでなく、保健分野の基盤である保健医療システムの強化や、保健分野と補完関係にある関連分野への取組等を包括的に行っていくことを明記している。
▼2005年末時点でのHIV/エイズ感染者(大人及び子供)の推定数
また日本は2005年6月、アジア太平洋地域における取組を議論するために「保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベルフォーラム」を主催し、感染症対策を中心とした保健分野支援における日本の考え方と取組への積極的な姿勢をアピールした (注4) 。 2002年1月に設立された世界エイズ・結核・マラリア対策基金(以下、世界基金)は、これまでに131か国に対し総額49億ドルの資金供与を承認し、開発途上国における三大感染症の予防、治療等の対策を支援してきている。日本は理事会の一員として、世界基金の設立当初からその管理・運営に重要な役割を果たしてきた。2005年の拠出分1億ドルを含め、累積で3億4,619万ドルを同基金に拠出し、主要ドナー国の一つになっている。三大感染症に苦しむ人々と連帯し、その撲滅に向けた闘いを支援するため、小泉総理大臣は6月末の「九州・沖縄G8サミット世界基金構想5周年記念特別シンポジウム」で、世界基金に当面5億ドルを拠出することを誓約した。 |
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