第3章 分野別に見た外交


(2)鳥及び新型インフルエンザ

 2005年夏以降、アジア地域を中心とする鳥インフルエンザの鳥の間での流行及び人への感染例の増加により、ヒトからヒトに感染する新型インフルエンザ出現の脅威認識が国際社会で高まった。この新型インフルエンザは空気感染するため伝染力が強く、また未知のウイルスであるため事前に効果的なワクチンを開発できないことから、多くの死者をもたらし、社会経済活動等に大きな損害が出る可能性が専門家により警告されてきた。そのため、国際社会全体での対応が求められ、様々なイニシアティブがとられてきた。

 9月に米国が日本も参加する「鳥及び新型インフルエンザに関する国際パートナーシップ」を立ち上げたほか、10月以降、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)等の関係国際機関やカナダ、オーストラリア等が国際会議を開催し、対応策について議論した。2006年1月には、北京で途上国支援のための会合が開催され、総額19億ドルの支援が誓約された。

 北京での会合に先立つ2006年1月12日から13日に、日本はアジア諸国、関係国際機関、主要ドナー国等を招待して「新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議」をWHOと共催し、新型インフルエンザ発生時の早期封じ込め策について、それぞれがとるべき措置について具体的な提言を行った。また日本は、アジアを中心とする途上国支援として、総額1.55億ドルの支援を表明した。




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