第3章 分野別に見た外交 |
(5)漁 業(マグロ・捕鯨問題等) 世界の海洋漁業資源が、その4分の3あるいはそれを超える割合 (注21) で乱獲されているとの懸念が広まりつつある中、日本は世界有数の漁業国、水産物の輸入国として、国際的な場においても、海洋生物資源の持続可能な利用と適切な保存管理、海洋環境保全のための協力に積極的な役割を果たしている。 近年、各地域の漁業資源管理機関においては、違法・無報告・無規制(IUU)漁船等への対策が進んでいる。大西洋、インド洋、東部太平洋及び南太平洋のマグロ類のための各漁業管理機関では、日本のイニシアティブにより、ポジティブリスト措置が導入された (注22) 。こうした機関では、資源の保存管理のためのルールを定めており、最近はルールを遵守しないケースに対し、漁獲枠の削減や輸入規制等、厳しい措置を講じる動きも出ている。日本は8月、日本のカツオ・マグロ類漁業生産の約80%を占める中西部太平洋における漁業資源管理を目的とした、中西部太平洋まぐろ類条約を締結した。 捕鯨については、6月の第57回国際捕鯨委員会(IWC)年次会合で、持続可能な利用を支持する国の数と反捕鯨国の数が拮抗したものの、日本の調査捕鯨実施に対する反対決議が可決され(法的拘束力はない)、南氷洋ミンク鯨や日本沿岸ミンク鯨等の商業捕獲枠の設定提案は否決されるなど、商業捕鯨の再開への見通しは立っていない。日本は、科学的根拠に基づき、保護すべき鯨種は適切に保護しつつ鯨類資源の持続可能な利用を図るべきとの立場であり、IWCにおいて、同じ立場の加盟国との連携を強化し、持続可能な利用の原則の支持を積極的に働きかけている。 |
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