第3章 分野別に見た外交


(3)海  洋

 日本は、四方を海に囲まれた海洋国家であり、国連海洋法条約を中心とする海洋の法的秩序の適切な運用と発展に重大な利害を有している。

 国際海洋法裁判所 (注19) の設立以来、裁判官を務めていた山本草二氏の任期満了に伴い、日本は6月に国連海洋法条約締約国会合で行われた同裁判所裁判官選挙に際し、柳井俊二中央大学教授を候補者として指名し、締約国の広範な支持を集めて柳井教授が裁判官として選出された(任期は2014年まで)。

 また、国土面積が小さく天然資源に乏しい島国日本にとって、海洋の生物資源や周辺海域の大陸棚・深海底に埋蔵される海底資源は、経済的な観点から重要である。

 国連海洋法条約では、沿岸国の200海里までの海底等をその大陸棚とするとともに、大陸縁辺部が200海里を超えて延びている場合には、海底の地形・地質等が一定の条件を満たせば、沿岸国は200海里を超える大陸棚を設定できるとしている。日本は、海底資源の安定的確保を通じた経済的な権益を確保するため、同条約に基づき日本の大陸棚の限界を最大350海里まで延長すべく、周辺海域の海底地形・地質調査を進めている。また、大陸棚限界延長に関する情報共有は各国の大陸棚延長準備に資するとの考えの下、第60回国連総会決議「海洋及び海洋法」の検討に際し、国連事務総長に各国の情報共有を促すよう取り組むことを求める提案を行い、決議の内容に反映させた。




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