第3章 分野別に見た外交 |
1.多角的貿易体制の強化 (1)多角的貿易体制の意義と重要性 第2次世界大戦の敗戦による経済の荒廃から復興し、日本が経済発展を遂げ今日の繁栄を築くことができたのは、戦後発足したGATT/WTO体制(注1)に基づく多角的貿易体制から受けた恩恵が大きな要因である。これまで自由貿易の推進に深く参画してきた日本にとり、今後もWTOを中心とするルールに立脚した多角的貿易体制の強化・発展は不可欠である。具体的には、(1)多角的かつ無差別な貿易ルールの維持・強化による、世界経済のブロック化防止、(2)貿易拡大による世界経済の成長、さらには開発途上国の発展を通じた世界の安定と繁栄への寄与、(3)規律が未定の分野におけるルール策定やWTOの紛争処理システムを通じて一方的な措置の是正を可能とすることによる、経済分野における「法の支配」の推進-の3点が、日本にとって特に重要である。 以上のように、多角的貿易体制の発展と日本の経済的利益は密接に関係しており、世界第2位の経済大国である日本が、そのルールづくりに参画することは極めて重要である。
▼多角的貿易体制の発展 GATTからWTOへ |
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