第2節 国際社会の繁栄の実現に向けた取組
【総 論】
2005年の世界経済は、前年に比べて若干緩やかながらも、おおむね堅調な成長を続けた。原油価格の高騰や深刻な自然災害等の影響が懸念されたものの、米国は景気拡大を継続し、アジアの新興経済国もめざましい成長を続け、世界的な経済成長を牽引した。日本も内需主導の経済成長を続け、世界経済への貢献に対する期待がますます高まっている。
▼主要国の実質GDP及び成長率

こうした中、日本は、日本経済及び世界経済の更なる強化のため、以下の5つの重点課題を柱とする総合的な経済外交を推進している。すなわち、(1)世界貿易機関(WTO)を基軸とする多角的自由貿易体制(グローバルな取組)の維持・強化と、これを補完する地域及び二国間レベルでの経済連携の推進のためのルールづくり、(2)世界経済の成長、持続可能な開発等、地球規模の問題に効果的に対応するための国際的取組への積極的参画、(3)APECやアジア欧州会合(ASEM)等の地域間協力の枠組み、日米・日欧経済関係等の重層的な経済関係の強化、(4)国民生活に直結するエネルギー、食糧、漁業(マグロや鯨等)、海賊対策等の経済安全保障の強化、(5)知的財産権の保護を含む海外の日本企業支援と対日投資の促進-の5点である(下の図表「日本の対外経済外交のテーマ」参照)。
▼日本の対外経済外交のテーマ

また、国際社会は地球規模の諸課題に取り組む上で科学技術の活用を重視しており、日本は、科学技術立国として発展してきた経験を踏まえ、科学技術協力協定等を通じた二国間協力や、宇宙・核融合等の分野での多国間協力を推進している。
日本は、これら諸課題解決のため、国際社会の繁栄に向けた取組に積極的に参加しつつ、日本の経済的利益の促進に努めていく考えである。 |