第3章 分野別に見た外交


(5)旧敵国条項の削除

 国連憲章中のいわゆる「旧敵国条項」(注18)は、1995年の国連総会決議において既に「死文化している」とされている。また、9月の「成果文書」には、首脳レベルの文書としては初めて、旧敵国条項の削除が明確に盛り込まれた。小泉総理大臣は、首脳会合における演説の中で、旧敵国条項の削除は国際社会にとっての大義である旨を改めて訴えており、日本としては、国連改革の議論の動向も踏まえながら、同条項の削除を目指す考えである。

 

▼国連の活動の規模の推移

 

▼主要国の国連分担率

 COLUMN

国連とお茶の心

 本年は、日本が国際連合に加盟してから50年を迎える意義深い年になります。 私は昨年9月に「日本・国連親善大使」という大役を拝命いたしました。この50年余り茶の心をもって世界のあらゆる所に参り、一わんのお茶を通して平和の尊さそして差別のない人類愛が少しでも広がっていくように務めて参ったのであります。それが、今日では「和」の輪が少しでも世界中に広がっていると思うのです。事実、国連のミレニアム茶会の折には茶席に韓国と北朝鮮の代表団の方々が一緒に入られ、並んで一服のお茶を召し上がったのです。ささやかではあっても私がやって参りましたことが間違いではなかったという裏付けになりましたことは、何より嬉しく思っております。こういう民間の文化的外交こそが今必要とされています。

 日本の文化を代表する茶道の精神、私の祖先である利休が残した「和敬清寂」の四文字こそ、日本が国連において大きく貢献できる実践要項のもとになるのではないでしょうか。他の人々と互いに和しつつ敬い合い、なおかつ落ち着いて自分の考えをしっかり持って行動することが、今の世の中においても肝要なことなのです。450年以上も前の戦国時代に、心身をもって一わんのお茶の心で朝鮮出兵を阻止しようとした利休の願いこそ今の世に必要なのです。

 また現代人は、「地球に住まわせていただいている」という感謝の気持ちが段々薄くなってきています。環境問題として大きくとりあげることも大切ではありますが、一人ひとりが身近な自然=緑が必要だと思う心が大事なのです。お抹茶の色は緑です、一わんの中に自然があるのです。召し上がる時に一瞬御自分の心に自然を感じていただきたいのです。どんな国のどんな人種の方でも、このことをお話すると納得してくださいます。

 これからも世界平和のため、一層の努力をしていきたいと存じます。

執筆:千 玄室 日本・国連親善大使

▲京都の今日庵でアナン国連事務総長を接遇する千玄室日本・国連親善大使




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