第3章 分野別に見た外交


(2)平和構築委員会

 現在、いったん和平が達成された紛争の約半数において、5年以内に新たな紛争が勃発していると言われており、紛争状態の解決から復旧、社会復帰、復興に至るまでの一貫したアプローチの必要性が国際社会の共通した認識となっている。このような問題意識を背景として、9月の「成果文書」の中で、紛争後の平和構築と復旧のための統合戦略を助言及び提案する仕組みとして、2005年末までに平和構築委員会を設立することが合意されるとともに、常設の平和構築基金を設置することが事務総長に要請された。

 この合意に基づき、具体的な活動態様やメンバー構成等を定めるために加盟国間の協議が行われた結果、12月20日、安保理及び総会により、平和構築委員会の設置に関する決議案がそれぞれ採択された。この決議では、平和構築委員会のメンバー構成は、(1)安全保障理事会から7か国、(2)経済社会理事会から7か国(3)国連への財政貢献上位10か国から5か国、(4)PKO等への要員派遣上位10か国から5か国、(5)その他地域バランス等を考慮して総会より選ばれる7か国-の計31か国とされ、また、常設の平和構築基金の設置も盛り込まれた。

 平和構築委員会は、日本が提唱する「平和の定着」構想や、「人間の安全保障」(参照)の概念と軌を一にするものであり、日本としては、経験と持てる力を最大限利用して、平和構築委員会の活動に積極的に参加していく考えである。




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