第3章 分野別に見た外交 |
1.日米安全保障体制 【総 論】 アジア太平洋地域には、冷戦終結後も地域紛争、大量破壊兵器やミサイルの拡散な ど、不安定な要素が存在する。特に、2001年9月11日の米国同時多発テロは、従来と比較して抑止力が効きにくく、予測が困難 な新たな脅威を顕在化させた。このような新たな安全保障環境の下、日米安全保障条約(以下、日米安保条約)に基づく日米安全保障体制(以下、日米安保体制)は、こ れまで日本を含む極東のみならず、アジア太平洋地域の平和・安定と繁栄の実現に有効に寄与してきている。また、日本は、自らの自衛力のみでは自国の安全が脅かされるようなあらゆる事態に対処できない以上、日米安保条約を引き続き堅持することで、米軍の前方展開を確保し、その抑止力の下で安全を確保することが必要である。 このような観点から、日米安保体制の信頼性を一層高めるために、たゆみない努力を続けていく必要がある。その一環として、日本は、米国との安全保障に関する協議を強化するとともに、新たな「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」(注1)に基づ き、日本有事の際の日米共同対処や周辺事態の際の日米相互協力について、2004年6月に成立した有事関連法制も踏まえつつ、検討作業を引き続き実施している。
▼安全保障に関する日米間の協議の場(2006年3月現在) |
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