(1)米軍のグローバルな軍事態勢の見直し
冷戦終結以降、米国をはじめ日本も含む西側諸国がかつて直面したソ連という脅威は消滅した一方で、国際テロ、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散など抑止力が効かず、非対称でより予測が困難な新たな脅威が顕著化している。米国はこのような新たな安全保障環境における課題に対処するため、軍事技術の進展を活用し、より機動性の高い態勢を実現することを目標に、米軍の全世界的な軍事態勢の見直しを行っており、日本を含めた同盟国、友好国等と緊密に協議してきている。2002年12月にワシントンで開催された日米安全保障協議委員会(以下、「2+2」会合)(図表「安全保障に関する日米間の協議の場」参照)で、新たな安全保障環境における日米両国の防衛態勢を見直すことを含め、両国間の安全保障に関する協議の強化が決定されて以来、日米両国は緊密な協議を継続している。

▲「2+2」会合後に記者会見に臨む日米両国の外務・防衛担当閣僚(10月29日、ワシントン)
町村外務大臣が出席した2月の「2+2」 会合で、日米両国の閣僚は、新たな安全保障環境において両国が追求すべき共通の戦略目標を確認した。さらに、10月の「2+ 2」会合では、この戦略目標を追求するための日米間の安全保障・防衛協力において、日米がどのような役割や任務を担い、そのためにどのような能力を備えるべきかに関する検討や、「抑止力の維持」と「地元の負担軽減」という2つの大きな目標を 実現するための兵力態勢の再編に関する検討を行い、その結果をとりまとめた共同文書を出した。これらの取組は、日米安保体制の基盤を更に固めるとともに、日米同盟の今後の方向性を明らかにするものであっ た。
今後とも、日米間の安全保障協力の実効性を向上させるため継続的な取組を進めるとともに、日米安保体制に対する国民の信頼と支持を固めるという長期的な観点から も、米軍施設・区域が所在する地元の方々の負担について可能な限り軽減を図っていくことが重要である(図表「日米協議の全体像」「兵力態勢の再編に関する勧告の内容」参照)。
▼日米協議の全体像

▼兵力態勢の再編に関する勧告の内容

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