第3章 分野別に見た外交 |
第1節 国際社会の平和と安定に向けた取組 【総 論】 日本及び日本国民の平和と繁栄を確保するためには、国際社会全体の平和と安定が不可欠である。2005年も、国際社会は複雑な要素をはらんだ地域紛争や国際テロ、大量破壊兵器等の拡散といった脅威に直面し、それらへの対応に尽力する一年となった。このように依然として不確実、不安定な要素を内包した国際社会が21世紀の新しい国際秩序を模索する中で、日本は日米同盟と国際協調の基礎の上に積極的に外交政策を展開しつつ、望ましい秩序形成に努めている。このような努力は、これまで進めてきた3つの柱からなる安全保障政策((1)適切な防衛力の整備、(2)日米安全保障体制の堅持、(3)日本を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力)とともに今後とも推進していく考えである。 日米安全保障体制については、日米安全保障条約を引き続き堅持し、米軍の前方展開の下で日本の安全を確保することが必要であり、日本は、米国との同盟関係を一層強固なものとしていく考えである。こうした努力の一環として、日米両国は、共通の戦略目標について確認した上で、自衛隊と米軍の役割・任務・能力の検討及び抑止力の維持と沖縄をはじめとする地元の負担軽減という観点からの在日米軍の兵力態勢の再編という課題に取り組んでいる。 さらに日本は、日本及び日本国民の安全と繁栄を確保するとともに、日本を取り巻く国際環境の安定を確保するため、様々なレベルでの不断の外交努力を積み重ねている。日本は、イラク復興支援やアフガニスタン内外におけるテロとの闘いの一環として自衛隊を派遣してきている。また日本は、国際社会が直面する課題に国連が効果的に対応できるよう、安保理改革をはじめとする国連改革を推し進めている。日本も含めた各国が支持してきた平和構築委員会の設置が国連で正式に決定されたことは、今後国連が国際社会の平和と安定に向けた取組を進めるに当たって重要であり、日本は同委員会を通じた国際社会への貢献を積極的に進めていく。 日本は、地域の安定を図るための二国間、多国間の協力、様々な国・地域との信頼醸成に向けた政治・安全保障対話及び協力、核兵器不拡散条約(NPT)等の軍縮・不拡散体制の強化、紛争の予防のための取組や国連平和維持活動(PKO)への協力等を通じた地域紛争への対応、域内各国の経済発展への支援・協力を通じた地域の安定性の増大、国際テロの防止・根絶のための努力等の分野で、引き続き積極的な役割を果たしていく考えである。 |
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